日本近代史12の謎を解く - 伝承と美談の狭間で

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日本近代史12の謎を解く - 伝承と美談の狭間で

  • 著者名:秦郁彦
  • 価格 ¥2,200(本体¥2,000)
  • PHP研究所(2024/03発売)
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  • ポイント 500pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784569856728

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内容説明

歌人の大町桂月(おおまちけいげつ)から「鬼才」と評された女流歌人・与謝野晶子は、弟が日露戦争に出征することを嘆いて「あゝをとうとよ君を泣く 君死にたまふことなかれ」という有名な一節で始まる歌を詠んだ。反響は小さくなかった。前出の大町は「乱臣なり、賊子なり、国家の刑罰を加ふべき罪なり」と激しく論難。これに対し晶子は「この御評、一も二もなく服しかね候」「歌は歌に候」「誠の心を歌にしただけ」「少女と申す者、誰しも戦嫌いにて候」と反撃し一歩も引かなかった。覚悟をもって晶子が発表したこの歌は、今では小中学校の教科書にも登場する、日本の反戦歌の代表的作品になっている。では、この歌を贈られた晶子の弟・籌三郎(ちゅうざぶろう)は、結局日露戦争で死ななかったのだろうか? そしてこの歌に関連して、さらに興味深い謎がある。太平洋戦争の際には、晶子は四男に対して「水軍の大尉となりてわが四郎 み軍(いくさ)にゆくたけく戦へ」と詠んでいるのだ。晶子は「転向」したのか? 出色の女流歌人の真意とは? 本書ではこのほか、「昭和天皇を襲ったテロリスト像─―難波大助と金子文子の挑戦」「南雲機動部隊 対 エンタープライズ―─索敵のミステリー」「ガダルカナル戦の起点と終点」「知られざるインド謀略工作の内幕」「日本共産党太平記―─山村工作隊と火炎びんの季節」「1945年ロシアによる三船遭難事件」などの近代史の謎に迫る。ゆったりとした時間に存分に楽しみたい、極上の歴史読み物である。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

trazom

105
会津戦争から太平洋戦史、日韓歴史戦、日本共産党太平記など日本近代史の12の話題が紹介される。その中では、与謝野晶子の受容に関する物語を興味深く読む。「君死にたまふことなかれ…」を反戦詩と断定することを批判しつつ、日露戦争時のこの歌と「水軍の大尉となりて…」という太平洋戦争時の歌と並べて、晶子が「反戦詩人」から「戦争協力者」へ転向したかのような印象操作を行う教科書に、大いなる懸念が示される。自らの主義主張のために歴史を勝手に解釈する姿勢こそ、実証的な戦史研究を重要視する秦さんが最も許せない態度なんだろう。2024/06/24

CTC

13
4月のPHP研究所新刊。今年92歳の秦さんがよもや新しい著書をお出しになるとは…ファンには嬉しい限りで中身も確認せずに購入したが…テーマも様々で12章中11章は2015〜23年に雑誌(PHP自社の『Voice』2本カドカワの『歴史読本』3本と別冊宝島2本等)に発表した書き物で…中身はまるで保阪正康さんの近年の本のようだ。日本近代史の謎を解くとのことだが、謎が表紙の通り朴烈と金子文子の怪写真レベル。既知或いは末節ばかりで、まさしく初出媒体のレベルに合わせて書いたような、深みのないものに留まってしまった。2024/06/07

takao

3
ふむ2024/06/03

がんちゃん

2
近代史12の謎を解くということで、なかなかに詳しい内容になっている。日韓の問題に関しては、少し異論があるが、与謝野晶子に関するテーマと日本共産党に関するテーマに関してはもう少し詳しく知りたいなと思わせる。2024/10/28

jm

1
秦先生の著作としては比較的エッセー的な読みやすいもの。その分、一つひとつのテーマが深まっているわけではないが、近現代史のイシューとしては興味深いものばかりだった。中でも最も興味深かったのは与謝野晶子かな。任意の作品を恣意的に抽出して、作者の思想性をどうこう議論することがいかに馬鹿馬鹿しいか。僕にも与謝野晶子は一貫した戦争に対する思いを秘め続けた詩人と写りました。2024/09/10

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