内容説明
クロノス共和国において、知る人ぞ知る高級サロン『花籠の館』で働くのは、十二年前の革命で地位を失った元貴族の娘たち。十年前に行き倒れていたところを煙突掃除人の親方・ラザールに拾われたニナは、自身も煙突掃除の仕事をしながら、つましく暮らしている。そんなある日、議員に館へ連れてこられた、『革命の英雄』と呼ばれる青年・ジャンと遭遇し、煙突掃除を熱心に依頼される。『花籠の館』にいる元令嬢たちと親しいニナは、彼女たちの敵であるジャンとはかかわりたくない。けれど、彼はなぜかニナをひどく気にかけてくる。その真意は? そして、ニナが心の奥底に封じてきた秘密とは……!?
目次
プロローグ 十年前
第一章 煙突掃除のニナ
第二章 『革命の英雄』ジャン・コルビジエ
第三章 おいしい煮込みと殺人疑惑
第四章 誘惑と取引
第五章 すべてが悪い夢だったら
第六章 『煙突の妖精さん』
エピローグ 未来の行方
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
26
十年前に行き倒れていたところを煙突掃除人のラザールに拾われ、自身も煙突掃除の仕事をしながら暮らすニナ。訳ありの彼女が革命の英雄ジャンと運命の出会いを果たす物語。十二年前の革命以来、彼女が心の奥底に封じてきた秘密から、彼とは関わりたくないと思うのにニナのことを気にかけるジャン。真っ直ぐな彼に惹かれていく一方で、ジャンがかつて袂を分かった時の権力者ロジャースに脅迫されるニナ。ジャンが窮地に陥る中で明らかにされる過去の真実を知って、我が身を省みずに決然と立ち上がったニナが引き寄せた結末はなかなか良かったですね。2024/02/16
ぐっち
18
革命で地位を追われた元王女と、革命の英雄との恋物語。二ナの葛藤とジャンの一途さが良かった。2024/05/04
nishiyan
12
十二年前の革命で名前と身分を失い、煙突掃除人として市井に生きるニナが「革命の英雄」ジャンと出会ったことから始まる物語。革命後の密告が横行する閉塞感漂う中で、したたかにしなやかに生きるニナ。彼女の封印されていた過去の記憶がジャンとの出会いで蘇る展開は読み応えがあった。ジャンのひたむきなニナへの愛も心地よく、それに戸惑いながら一時は袂を分かつも…と二人の仲が危うくなったのにはハラハラさせられた。彼の危機に立ち上がったニナの思い切りの良さと、彼の仕掛けが上手くいったところもよかった。二人のその後がぜひ読みたい。2024/03/16
栗山いなり
11
革命後の国で煙突掃除人として働くニナが国を左右する事件に巻き込まれていく物語。フランス革命を参考にしてるのが丸分かりな作品だけど、そのせいもあってか中々読み応えがあったな2024/03/03
色素薄い系
5
ラザール親方が一番カッコイイと思います。元王女で煙突掃除なんてキツイ仕事をやろうと決めたニナはなかなかすごい人物な気がする。ジャンの一途な想いが報われたのは良かったけどまだ簡単には結婚出来ないんじゃないかなぁ?と思うのでもう少し続きが見てみたいです。2024/06/02