内容説明
前代未聞の「女東宮候補」として、八雲の院の御所に集められた五人の姫君たち。両親を早くに亡くし、宇治の田舎で貧しく暮らしていた火の宮もその候補となるが、強引で高慢な八雲の院のやりかたに憤りを覚えていた。五人の姫君――火の宮、犬の宮、恋の宮、四季の宮、和歌の宮――は、雷光殿という一風変わった建物に滞在することになる。だが、八雲の院との顔合わせ直後、和歌の宮が命を落とす。病死や事故死ではありえない、明らかな殺人。雷光殿は池の中州に建てられた建物であり、渡るには船を使うしかない。船は中州側につながれたままであることなどから、「犯人は外部からの侵入者ではなく、もともと雷光殿にいた人間であり、今もこの建物内にいる」という状況が発覚。お互いがお互いを疑う中、さらなる犠牲が……。一方、森羅殿に滞在している貴の宮は、宇治で自分たちを襲った賊の「ある特徴」を思い出す。急ぎ、雷光殿にいる姉・火の宮に伝えようとするが……。熾烈で哀しい道を進み、「女東宮」の座に就く姫君とは――。
目次
一章 雷光殿の殺人
一 見えない魔手
二 男たちの攻防
三 狼の結婚
二章 双調の殺意
一 森羅殿(一)
二 森羅殿(二)
三 雷光殿(一)
四 雷光殿(二)
五 森羅殿(三)
六 雷光殿(三)
三章 激愛
一 剥ぎとられた仮面
二 雨に隠れて
三 恋の炎
終
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
34
前代未聞の女東宮候補選びの最中、八雲の院との顔合わせ直後にが命を落とした和歌の宮。病死や事故死ではありえない明らかな殺人に候補者たちも動揺する第2弾。候補者たちが滞在する雷光殿の状況から、外部ではなく内部犯行しかありえない状況に、お互いが疑心暗鬼に陥っていく中、生まれてしまったさらなる犠牲者の存在。それでも候補者選びを続けようとする八雲の院の非道なやり口には言葉もなかったですが、候補者たちの本性を容赦なく暴きながら、それぞれが抱いていた密かな希望すら打ち砕く壮絶な候補者選びの物語はまだまだ終わりません…。2024/02/16
よっしー
9
続きが出てくれて嬉しいのだけど、とにかく面白いけどしんどい。ぶっちゃけ、こっちのシリーズを一般書で出して、嘘姫のシリーズをオレンジ文庫で出した方が良かったのでは?と思った。2024/05/13
栗山いなり
6
八雲の院で起こった連続殺人事件の謎に火の宮が挑む平安ミステリー小説。ミステリーとしてそれなりに面白かったけど最後の方が結構駆け足気味に感じたのとこれ読む前に読んだのが相当凄かったからそれと比べてしまったな2024/03/24
炒飯
6
前巻がたまらない終わり方だったので、ずっと気になっていた。内部犯行としか思えない事件で、疑いだすと全員怪しく思えてきて…実は主人公が一番大切に思っているこの人こそが黒幕なのでは?このシリーズとんでもなく凄いから、それも有りかも!と、疑ってはいけない人を疑ってしまった。でもやっぱり凄かった。死んじゃいけない人だと思っていたのに…。候補者皆がいろいろなものを抱え救われない辛さに、さらに心をえぐる仕打ち…。まだまだ終わらない物語…次も気になって仕方ない。2024/02/29
Tea Chayama
4
この巻の最後の方になって、え?まさか…と嫌な予感がしていたが、手厳しい展開。 続きの巻は、とりあえず他の方の感想を見てから読む・読まないを決めることにした。 ここで読むのを止めてこの作品を忘れるのも、自分のための一つの手かもしれない。2024/06/03