内容説明
平安末期。謎の疫病が猛威をふるう京の都。多数の庶民が命を落とす中、宮廷でもまた、東宮三人が立て続けに死亡するという前代未聞の事態が起こり、貴族たちは恐怖と混乱に陥っていた。そこへ、強力な予言力をもつ賀茂の老巫女から「一時的に東宮に皇女をたてよ」という神託が届けられる。帝の兄であり、実質的にこの国を支配している上皇はこの神託を受け入れる、ただちに女東宮の候補となる数人の皇女たちが選び出された。その中には、人々から忘れ去られた寂しい暮らしをしていた16歳の火の宮も入っていた。女東宮候補となった火の宮を待つ試練とは……。
目次
序
一章 火の宮
一 宇治の三姉弟妹
二 春秋院からの使者
二章 炎の道
一 試練
二 宇治川の邂逅
三 月と狼
四 決別の夜
三章 五人の皇女
一 五悦同舟
二 帝王の流儀
三 相聞
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
27
平安末期。謎の疫病・葡萄病みで大混乱に陥っている京の都。そこに次の東宮には一時、皇女を立てるべきという神託が届けられる和風ファンタジー。今上帝の兄の上皇・八雲院は神託の受け入れを決定、選出された五人の女東宮候補となる皇女たち。双子の弟・映の宮、妹の貴の宮と宇治で忘れられた暮らしを送る火の宮が候補に指名される展開で、今上帝に仕える源翔との出会い、様々な思惑が絡み合う中で起きた事件と覚悟を決めた映の宮主従、ライバル関係にある女東宮候補たちとの関係や掴みどころのない八雲院など不穏な展開には期待感しかありません。2023/01/19
かなで
12
再読2023/07/31
リディア
6
序章はイマイチだったのですが本編からはコバルト文庫的に楽しく読めました…途中までは。途中から気味悪い展開が出てきてちょっとどうなの?って思うけど、続き楽しみです。2023/04/29
栗山いなり
6
謎の疫病が蔓延する平安の世で『女東宮』が作られることになった事から始まる和風ファンタジー小説。ぶっちゃけると壮大な序章って感じの物語だった。あの終わり方だとシリーズ化するんだろうけどどんな風に続くかは気になる2023/03/21
ミド
5
これは大作の予感。貧乏暮らしから後宮へという流れは嘘つきと似ているけれど、コバルトよりもずっと大人向けの話。弟は善良な火の宮ではできない影の部分を背負っていくのかな。双子だからと無条件に通じ合っているわけではないのがいい。そして孤島に集められた5人の候補者。これで何も起こらないわけはない。和風ファンタジーにミステリー、そして恋もあって。ハラハラドキドキの重厚なストーリーに今後も期待できる。2023/11/10