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内容説明
バブル崩壊以降、「失われた三〇年」とも言われる長期停滞から抜け出せない日本。なぜこれほど長く低迷しているのか。日本経済を一九九〇年代から振り返り、繰り広げられた論争と、実施された政策をマクロ経済学の見地から検証する。一九九〇年代の不良債権処理、二〇〇〇年代の格差論争、二〇一〇年代の低金利政策。私たちはどこで判断を誤り、どのように克服すべきか。将来への持続性につながる経済政策を提言する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
110
日本経済に「失われた30年」がもたらされた根本原因は、バブル崩壊後の不良債権処理を先送りし続けたためだ。歴代首相も財務相も日銀も処理により損をする勢力からの反対や失敗した場合の責任追及を恐れ、その場しのぎの政策しか取れなかった。結果、デフレ長期化を招き社会資本を棄損させ、人心を荒廃させて不況を長引かせた。一方で複雑な経済・金融政策は一般人にわかるまいという態度を続け、政党は政争にかまけ経済を顧みない状況を見た国民は、明確な対策を掲げたアベノミクスを支持した。この無責任の連鎖に植田日銀は終止符を打てるのか。2024/03/30
よっち
35
「失われた30年」と言われる長期停滞から抜け出せない日本。なぜこれほど長く低迷しているのか。繰り広げられた論争と実施された政策をマクロ経済学の見地から検証する1冊。1990年代の構造改革と不良債権処理。2000年代の長期化するデフレと格差論争、リクレ政策。大いなる安定から大不況に陥ったアメリカ経済の30年。2010年代の格差拡大と長期停滞期における低金利政策。振り返っての著者からの提案は、必ずしも納得感のあるものはなかったですが、現実問題として将来を見据えて今から政策を考えていく視点は必要だと思いました。2024/02/26
おせきはん
33
「失われた30年」における不良債権処理をはじめ日本の経済政策の課題を丁寧に解き明かしています。人口が減少し、高齢化が進むことを考慮すると、将来の人の立場から政策を立案していく視点は一層、重要になると思いました。2024/02/03
zoe
19
2024年。政策がうまくいかない。7代将来を考え、利他的に判断するという単純な発想でもって、判断は変わる。自分の子供の世代くらいしか考えられない強欲な家系でも7代先なら、何次の隔たりかは分からないけれども、利他的に近い判断ができるんじゃないかな!しかし、頭の良い人達が考えた緻密な政策でも、民の気分の持ちようの方が、景気をよほど 左右するようだ。ゾンビはゾンビのままの時もあれば、復活する時もある。なぜ金融収縮が来ることを誰も分からなかったのか?by女王。2024/02/19
しゅー
7
★★★アツいぜ、小林先生!バブル崩壊以降の経済政策に関する論争が、私のような素人でもわかるように噛み砕いて説明される。細部に拘らず、大筋の論理を示してくれるのがありがたい。それでいてMMTとFTPLの違いみたいなマニアックな部分にも抜かりがない。もはや財政政策は効かないと言って大胆な金融緩和を主張したリフレ派が、金融政策が効果を上げないと財政出動を訴える。確かに、なんだかグダグダな議論をするものだ。クルーグマンの無責任な姿勢にも腹が立つ。後半の著者による政策提言は、現実に導入するのが難しそうなのが残念だ。2024/03/22