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内容説明
バブル崩壊以降、「失われた三〇年」とも言われる長期停滞から抜け出せない日本。なぜこれほど長く低迷しているのか。日本経済を一九九〇年代から振り返り、繰り広げられた論争と、実施された政策をマクロ経済学の見地から検証する。一九九〇年代の不良債権処理、二〇〇〇年代の格差論争、二〇一〇年代の低金利政策。私たちはどこで判断を誤り、どのように克服すべきか。将来への持続性につながる経済政策を提言する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
115
日本経済に「失われた30年」がもたらされた根本原因は、バブル崩壊後の不良債権処理を先送りし続けたためだ。歴代首相も財務相も日銀も処理により損をする勢力からの反対や失敗した場合の責任追及を恐れ、その場しのぎの政策しか取れなかった。結果、デフレ長期化を招き社会資本を棄損させ、人心を荒廃させて不況を長引かせた。一方で複雑な経済・金融政策は一般人にわかるまいという態度を続け、政党は政争にかまけ経済を顧みない状況を見た国民は、明確な対策を掲げたアベノミクスを支持した。この無責任の連鎖に植田日銀は終止符を打てるのか。2024/03/30
壱萬参仟縁
43
マクロ経済学からの解説本。問題は、地価・株価の上昇期待が不良債権処理の先送りをし、結果的に地価・株価の上昇を阻んだ(16頁)。デフレが起きるのは、不況の結果。デフレは不況を引き起こさない(79頁)。リカーディアン政策:予算制約に合わせて財政政策を決める。ノン・リカーディアン政策:予算制約を無視して先に財政政策を決め、後で物価が決まる瀬愛作運営。FTPL(クリストファー・シムズ=2011年ノーベル経済学賞、物価水準の財政理論)はこのレジーム下(172頁~)。人的資本は学歴、教育、訓練で投資(197頁)。2024/12/27
逆丸カツハ
39
至極真っ当な話をしていたように思う。どんづまっているなぁ。大局を見て判断できる人は日本にはあんまりいないんだろうな。2024/10/17
よっち
37
「失われた30年」と言われる長期停滞から抜け出せない日本。なぜこれほど長く低迷しているのか。繰り広げられた論争と実施された政策をマクロ経済学の見地から検証する1冊。1990年代の構造改革と不良債権処理。2000年代の長期化するデフレと格差論争、リクレ政策。大いなる安定から大不況に陥ったアメリカ経済の30年。2010年代の格差拡大と長期停滞期における低金利政策。振り返っての著者からの提案は、必ずしも納得感のあるものはなかったですが、現実問題として将来を見据えて今から政策を考えていく視点は必要だと思いました。2024/02/26
おせきはん
35
「失われた30年」における不良債権処理をはじめ日本の経済政策の課題を丁寧に解き明かしています。人口が減少し、高齢化が進むことを考慮すると、将来の人の立場から政策を立案していく視点は一層、重要になると思いました。2024/02/03
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