岩波新書<br> ヨーロッパ史 拡大と統合の力学

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岩波新書
ヨーロッパ史 拡大と統合の力学

  • 著者名:大月康弘
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  • 岩波書店(2024/01発売)
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  • ISBN:9784004320036

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内容説明

世界暦と黙示的文学が終末意識を突き動かすとき,ヨーロッパの歴史は大きく躍動した.古代末期に源流をもつ地中海=ヨーロッパの歴史を,人びとを駆動し「近代」をも産み落とした〈力〉の真相とともに探究する.「世界」を拡大し,統合した〈力〉とは何か.ナショナリズムと国民国家を超えた,汎ヨーロッパ世界展望の旅.

目次

はじめに――ヨーロッパ史とは何か
地図 「中世」のヨーロッパ
第1章 大帝を動かす〈力〉――伏流水
一 大帝と呼ばれた皇帝たち――ローマ皇帝の当為
二 ユスティニアヌス――帝国の復興
三 カール――世界統治の理念
四 オットー一世――教会と王国支配
五 黙示的文学の広がり
第2章 終末と救済の時間意識――動力
一 「最後の日は近い」――ヨーロッパを駆動した世界観
二 世界年代記の出現
三 「いま」がもつ意味――キリスト暦の始まり
第3章 ヨーロッパ世界の広がり――外延
一 古代末期から長い「中世」へ――ヨーロッパ史の基層
二 「世界」の広がり――『帝国の統治について』
三 共存と共生――「帝国」の儀礼とその遺産
第4章 近代的思考の誕生――視座
一 レコンキスタと世界暦
二 コンスタンティノープル陥落
三 終わらないヨーロッパ
四 近代社会のオイコノミア
第5章 歴史から現代を見る――俯瞰
一 国家と社会をどう捉えるか
二 《自由な個人》はどこからきたのか――「近代化」論と都市
三 西ヨーロッパ近代社会の淵源――中世都市と「海」
おわりに――統合の基層
あとがき
図版出典一覧
参考文献
関連略年表
キーワード

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

skunk_c

73
著者も「あとがき」で断っているように、いわゆる通史ではなく、どちらかというと『史論』と言うべきもの。ヨーロッパの根源を東ローマ=ビザンツ帝国とキリスト教に求め、そのエネルギーが伏流水のように脈々と流れているとする。この前半の中世の部分は著者の専門でもあり面白かった。しかし後半の近代ヨーロッパに関しては、ほぼ著者のモチーフが語られている感じで、印象としてはかなり東、つまりドイツよりに思えた。確かにビザンツの伝統は東の方が強く影響しているとは思うが、特にフランスにあまり触れられていないのがちょっと不可思議。2024/02/03

よっち

27
古代末期に源流をもつ世界を拡大し、統合した力とは何だったのか。ナショナリズムと国民国家を超えた地中海=ヨーロッパの歴史を展望する一冊。ユスティニアヌス、カール、オットー一世といった大帝と呼ばれた皇帝の事績に始まり、自然災害やパンデミック、世界年代記や終末論思想の出現、ビザンツ帝国に見る世界の広がりや、レコンキスタとコンスタンティノープルの陥落、近代的思想の誕生、そして近代化の中で国家と社会をどう捉えるかを解説する内容は、通史ではないもののいかにしてヨーロッパが形作られたのかを知るいいきっかけになりました。2024/02/26

MUNEKAZ

13
ビザンツ帝国史が専門の研究者によるヨーロッパ史ということで、わくわくしながら読んだのだが…うーん。前半のパート、終末論の流行や「暦」の問題といった部分は面白かったのだが、近代ヨーロッパの源流は古代の「オイコノミア」にあったのだというあたりからついていけなくなり…。著者の問題意識はつかめぬままとりあえず読み終わりました。ギブアップです。2024/01/24

さとうしん

12
英仏独などの各国史ではなくヨーロッパ世界を一体のものとして見るヨーロッパ史……だと思う。古代末期から中世にかけての大帝の時代の部分が私にとっての読みどころだった。著者の専門柄「ビザンツ」に関する話が多いが、西暦が誕生したのはユスティニアヌスの時代であるという点や、コンスタンティノス7世が息子のために作ったという『帝国の統治について』の百科全書的な性質が『呂氏春秋』に似通っていること、ビザンツ帝国が周辺諸地域を子ども、兄弟など擬制的親族関係に擬えていたのが宋王朝のそれを連想させることなどが興味深い。2024/02/03

ぷほは

6
大戦期前後に出てきた近代相対化の歴史観がピレンヌやブローデルの作品で、それらはEUにつながる「ヨーロッパ」の文化的統一への希望という意味も含まれていた。当然そうなると古代末期からの地中海世界へとまなざしが注がれ、キリスト教的世界観が胚胎した「個」の思想や都市のオイコノミアの系譜が、アガンベンやフーコーの解釈を頼りに辿られる。おそらくウォーラーステインはもっと穏当な結論に至っていると思われるので、アガンベンやフーコーがさらっと流されているのが気になるが、これまで自分が勉強してきた流れを跡付けることができた。2024/01/29

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