内容説明
時は金鵄(きんし)国、第33代帝、天誠帝の御世。
都から遠く離れた隠岐野の郡の辺境の里にて、かぐやは祖父母である讃岐家の翁と媼に育てられていた。
かぐやは見た目は美しいが、幼い頃から人とは異なる力を持っており、本人も知らぬ間に夜な夜なふらりと邸を抜け出し、気付くとこの国にはびこる妖影(かげ)と呼ばれる魔物を斃していた。
その際にどこからともなく光る弓矢が現れ、髪も金色に輝くことから、気味悪がった翁と媼はかぐやを監禁し虐げながらも、彼女の美貌を見て求婚してくる貴族からの貢ぎ物で私腹を肥やしていた。
かぐやはたまに屋敷を訪ねてくる、兄と慕う錺(かざり)職人の零月に唯一心慰められていたが、ここからはどこにも行けないと諦め、心を殺して生きていた。
そんなある日、前帝の子であり、現帝からの信頼も厚い美丈夫、祇王隆勝が訪ねてくる。
隆勝は妖影を討伐する黒鳶隊の大将をしており、かぐやの異能の噂を聞いてやってきたが、翁と媼からの仕打ちを知り、仮初めの婚姻の形を取ることでかぐやを連れ出す。
かぐやは姫巫女として黒鳶隊に入れられ、中将の海祢や少将の凛といった仲間たちとも過ごす中で、次第に自分の意思を取り戻していくが、同時に厳しくも優しく自分を見守ってくれる隆勝に心惹かれていって……?
美しく、心震える異能×和風恋愛ファンタジー!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はなりん
13
妖に対する異能を持つ為、虐げられ育ったかぐや姫。対妖を討伐する黒鳶隊の隊長である王弟の隆勝に目をつけられ、婚姻する形で王都へ。愛のない婚姻から徐々にお互い気になり始める関係や、黒鳶隊での活動で人間らしさや人との関わりを学ぶかぐや姫の成長が微笑ましい。かぐや姫の異能や秘密がありそうな零月の正体がわからず下巻へ続く。2024/03/10
色素薄い系
4
前半のかぐやを翁と媼の屋敷から連れ出すまでは良かったんだけど、その後のずっと虐げられてきたかぐやがその能力を買われて黒鳶に所属する→任務で能力が使えなくて助けられず、までは最初から見えていたようなものなのに「どうして諦めたんですか?」って凛に言われたり、お金で買われた人形の私を好きなように使って下さいって言ったら隆勝には辛く当たられたりと自由意思なんて認めてもらえる状態じゃないの知ってたのにどうして?ってなったよね。凛はかぐやの状況知らないのかと思ってたら知ってたみたいだしさらにどうして?ですよ。2024/02/21