「読書の自由」を奪うのは誰か - 「自由宣言」と蔵書選択

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「読書の自由」を奪うのは誰か - 「自由宣言」と蔵書選択

  • 著者名:馬場俊明
  • 価格 ¥2,860(本体¥2,600)
  • 青弓社(2023/11発売)
  • ポイント 26pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784787200853

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内容説明

「図書館の自由に関する宣言」が1954年に採択されたあとに起きた3つの侵害事件――県立山口図書館蔵書隠匿事件(1973年)と富山県立図書館『図録』事件(1986年)、船橋市西図書館蔵書破棄事件(2001年)をあらためて検証する。

この3館の「図書館の自由」侵害事件は、国家や警察権力などの公権力の介入によるものではなく、図書館と図書館員自らが犯した侵害事件である。それだけに、図書館界は大きく揺れ、論議を尽くしながらも、対処の仕方にはいまもって疑問符が残っている。
ひとたび問題に直面すると、「自由宣言」の理念と組織構造との間には対立が生じ、どのように対応すればいいのかの合意形成が困難になる。

これからも「図書館の自由」を堅守するために3つの事件の実情に迫り、問題点の概要と教訓を導き出す渾身の論集。

目次

はじめに

第1章 蔵書選択における自主規制──県立山口図書館蔵書隠匿事件を考える
 1 戦後民主主義の転換期──一九六八―七三年
 2 県立山口図書館蔵書隠匿事件とは
 3 「隠された蔵書」と内部告発者
 4 県立山口図書館の光と影──小松原訓令
 5 「中立性」と「公序良俗」
 6 「不当でない検閲」と「自主規制という名の検閲」
 7 問われる県立山口図書館と日本図書館協会の対応

第2章 自主規制という名の検閲──富山県立図書館『図録』事件を通して
 1 富山県立図書館『図録』事件とは何か
 2 検閲と図書館の闘い
 3 「自主規制という名の検閲」の原型

第3章 思想の寛容がなければ図書館の自由は守れない──船橋市西図書館蔵書廃棄事件 
 1 船橋市立図書館事件の概要と事実経過
 2 図書館界の危機感
 3 船橋市立図書館事件と図書館裁判
 4 図書館裁判と公立図書館の思想性

[資料1] 「図書館の自由に関する宣言」
[資料2] アメリカ図書館協会「図書館の権利宣言」
[資料3] 船橋市西図書館除籍図書リスト
[資料4] 最高裁判所判決文

あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

いちろく

20
過去に実際にあった図書館の管理側が原因の3つの事件を元に、タイトルについて問う内容。取り扱っている話題が予想より少なく、もっと広義的な意味での図書館問題を想像していたので残念な部分も。都道府県ごと、区市町村ごと、地域ごとに図書館のルールは違う部分もあるし、職員に依存するのは利用者レベルの私でも知っている自明なこと。結局のところ、ルールが明確でも管理する側の人が駄目ならこの本に提示されるような問題は起こる。それでも、昨今は指定管理や業務委託の図書館も増え、以前よりも便利で雰囲気もよく感じるのは私の気の所為?2024/02/28

izw

6
県立山口図書館蔵書隠匿事件、富山県立図書館『図録』事件、船橋市西図書館蔵書廃棄事件、と3つの図書館での事件に関する膨大な資料を元に、図書館・読書の自由に関する考察を行っている。特に自主規制という名の「検閲」については、どう対応できるのであろうか、と考え込んでしまった。考え続け、より良い方向を目指していないと、倫理観が維持できない厳しい問題である。2024/09/02

manabukimoto

3
「図書館の自由に関する宣言」の冒頭は、「図書館は、基本的人権のひとつとして知る自由をもつ国民に、資料と施設を提供することをもっとも重要な任務とする。」から始まる。 1968年「県立山口図書館蔵書隠蔽事件」と、2002年「船橋市西図書館蔵書廃棄事件」のことを本書で知る。 興味深いのは、前者が「反権力」、後者は「権力寄り」の本を隠したり捨てたりしていること。図書館員一人一人の「良かれ」が、私たちの「知る自由」を奪うことになる。 知の源泉として、どんな思想の本も置いてあるべきが図書館だろう。 岐阜市立図書館蔵書2024/01/24

こけこ

2
図書館でこんなことがあったの?知らなかったのでびっくり。勇気ある司書さんに感謝です。ネットの世界でも検閲や監視はあるらしい。見(せ)たくない情報は見(せ)ない。情報操作をされていることすら気付かないのは、怖い。2024/06/18

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