人間晩年図巻 2000―03年

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人間晩年図巻 2000―03年

  • 著者名:関川夏央
  • 価格 ¥2,090(本体¥1,900)
  • 岩波書店(2023/11発売)
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  • ISBN:9784000614962

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内容説明

同時代人への哀惜をこめ,感傷に流れず過去を検証する.著者畢生の「晩年図巻」シリーズ待望の続編は,〈ミレニアム〉に湧き立った二〇〇〇年から,誰もが言葉を失った二〇一一年三月一一日まで,平成中期に世を去った八〇人の晩年を描き出す.本巻には元祖『人間臨終図巻』の山田風太郎,古今亭志ん朝,張学良,ナンシー関らを収録.

目次

2000年に死んだ人々
仙波龍英(過度の飲酒の結果の衰弱死か・48歳)………「青春の物語」を拒むつぶやき
梶山静六(閉塞性黄疸・74歳)………マスコミが聞き流した公式答弁
青江三奈(膵臓がん・59歳)………歌えさえすれば「あとはおぼろ」で構わない
吉田清治(直腸がん,結核性肺炎・86歳?)………「謝罪業」
大貫久男(心筋梗塞・62歳)………筋骨隆々の心筋梗塞
2001年に死んだ人々
並木路子(入浴中に心筋梗塞・79歳)………「リンゴの唄」が決めた「昭和戦後」の色
田山幸憲(舌がん・54歳)………東大中退パチプロ人生
山田風太郎(糖尿病,パーキンソン病,肺炎・79歳)………「戦中派天才老人」の晩年
モハメド・アタ(自爆死・33歳)………テロの世紀をひらいた男
古今亭志ん朝(肝がんの肺転移・63歳)………早い,あまりにも早い
張学良(肺炎・100歳)………「晩年」六十五年
左 幸子(肺がん・71歳)………映画女優の全盛期とは?
2002年に死んだ人々
ビリー・ワイルダー(肺炎・95歳)………『サンセット大通り』の風景
トール・ヘイエルダール(脳腫瘍・87歳)………世界への「再参加」と「探検記」
柳家小さん(五代目)(睡眠中に心不全で死去・87歳)………落語と剣道
矢川澄子(自死・71歳)………「不治の少女」
ナンシー関(虚血性心不全・39歳)………「心に一人のナンシーを」
岡田正泰(急性肺炎・71歳)………弱小球団と「東京音頭」の物語
2003年に死んだ人々
尹学準(突発性間質性肺炎・70歳)………密航以来五十年
安原 顯(肺がん・63歳)………「スーパー・エディター」の鬱屈
天本英世(急性肺炎・77歳)………「ホームレス」になりかけた「死神博士」
加藤大治郎(レース中の事故死・26歳)/阿部典史(公道走行中の事故死・32歳)………天才たちのあっけない死
チャールズ・ブロンソン(アルツハイマー,肺炎・81歳)/西村彦次(腎臓がん・82歳)………社名を変えさせたCM
ネルソン吉村大志郎(脳出血・56歳)………きれいなネコのようなネルソン

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

まーくん

86
人間晩年図巻四巻(1990-2007年)読了。第五巻(08-11年)も出版予定あり。今回読んだ00-03年の刊で印象に残ったのは、何と言っても本シリーズの雛型となった『人間臨終図鑑』の著者山田風太郎(01年没79歳)。『くノ一忍法帳』は勿論覚えてる。蛇足を付け加えれば”くノ一”とは女のこと。風太郎の老後の楽しみは夫人の運転する車で京王線聖蹟桜ヶ丘駅近くのスーパーに行くこと。目的は買い物に非ず、食品売り場の見物。広大で清潔な売場の光景には圧倒される。飢えに苦しんだ戦中派としては、これが戦後という時代の達成⇒2022/08/26

ma-bo

51
シリーズ第3弾。2000年〜2003年に亡くなった人の人生と晩年を記す。人選の偏りがあり知らない人が多かった。2022/01/20

山田太郎

33
面白いんだけど、人選の基準がよくわかんないというか。元祖の山田風太郎になにか基準があったかと言われるとあれはとにかく数集めてる感があって気になりませんでしたが、なんかこう絞ってる感じがあってなんだかなと。知ってる人の方が読んでいて面白いなと思った。途中で関係者のやたら詳しい解説に寄り道するのがまたおつなものだと。2022/01/11

kawa

28
愉しみなシリーズ3巻目。本巻には私的ビックネームは少ないが、仙波龍英(歌人)、田山幸憲(パチプロ・コラムニスト)、安原顯(編集者)、天本英世(俳優)らの奇人、変人が知れたことが収穫。「人生は 一に健康 二にお金 三に愛情 あとは泣くだけ」(仙波龍英)は、思わず我が日記に記録する。+、昭和史に興味ありなので張学良も収穫。2022/09/09

踊る猫

26
渋い仕事だ、と思う。いずれは誰もが死ぬ。その死と、そこから照射されるその人物の生を描き出すこと。そこにどんな感傷も込めないでただ淡々と描き切ること。それがこの本では試みられる。従って読んでいて楽しくなる本ではない。自分にも想定外/予想外の形で死が訪れることを思い知らされて辛くなる、と思う。だが、死ぬからその人物はムダに生きた、ということにはなるまい。誰もがその人に課せられたミッションを引き受け、こなし、そして死ぬ。そうした生の過程が平等な強度を以て記される。そこにこの本の美点はある。なかなか手ごわい一冊だ2021/12/21

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