内容説明
山田風太郎『人間臨終図巻』の衣鉢を継ぐ新たな「図巻」が誕生.一九九〇年代を舞台に,世界的スターから市井の人まで,悲喜こもごもの晩年を匠の筆で描き出す.あの人はどんな晩年を送ったのか? 彼らが世を去った90年代とはいかなる時代だったのか? 本書には渥美清,ダイアナ元妃,司馬遼太郎,伊丹十三,城達也らを収録.
目次
■『人間晩年図巻 1990-94年』
1990年に死んだ人々
栃錦(春日野)清隆(脳梗塞/肺炎・64歳)……渋好みのコドモが愛した横綱
成田三樹夫(胃がん・55歳)……自由律俳句好きの悪役
グレタ・ガルボ(肺炎/腎機能障害・84歳)……「ガルボが笑う!」
池波正太郎(急性白血病・67歳)……「人間は死ぬために,生きはじめる」
藤山寛美(肝硬変・60歳)……「阿呆」の天才
幸田 文(心不全・86歳)……「崩れ」を見に行く
1991年に死んだ人々
江 青(縊死・77歳)……悪いのはやっぱり毛沢東
中島 葵(子宮頸がん・45歳)……数奇な血統の女優
カティア・クラフト/モーリス・クラフト/ハリー・グリッケン(事故死)……普賢岳大火砕流に飲み込まれた火山学者たち
山本七平(膵臓がん・69歳)……地獄からの生還者の戦後46年
相田みつを(脳内出血・67歳)……評価に苦しむ作品と人生
1992年に死んだ人々
中村曜子(ALS.65歳)……「松本清張的世界」最後の登場人物
山村新治郎(殺人被害・58歳)……なんでこうなった?
尾崎 豊(肺水腫・26歳)……ひたすら急ぐ青春
小池重明(肝硬変・44歳)……「破滅型」は破滅する
長谷川町子(脳血腫・72歳)……女たちだけの家
大山康晴(肝臓がん・69歳)……老天才の執念
中上健次(腎臓がん・46歳)/永山則夫(刑死・48歳)……同年に上京した二人の人生
寺田ヒロオ(静脈瘤破裂・61歳)……「真実一路」のマンガ家,その長い晩年
太地喜和子(事故死・48歳)……深夜の海に転落
風船おじさん(鈴木嘉和)(冒険事故死?.52歳?)……ジェット気流に乗ってアメリカへ行こう
1993年に死んだ人々
オードリー・ヘップバーン(大腸がん・63歳)……ヨーロッパの影を生きた「妖精」
神永昭夫(直腸がん・56歳)……柔道家たちの秋
山本満喜子(老衰・80歳)……「エドの舞踏会」の孫娘
ハナ肇(肝臓がん・63歳)……「お父っつぁん,お粥ができたわよ」
山本安英(急性呼吸不全・90歳)……「健やかにゆくものは,とおく行く」
マキノ雅弘(慢性呼吸不全・85歳)……生涯261本
田中角栄(脳梗塞・75歳)……父の恨みを娘が継ぐ
逸見政孝(胃がん・48歳)……司会者として死にたかった人
1994年に死んだ人々
安井かずみ(肺がん・55歳)……「理想的夫婦」といわれた17年
アイルトン・セナ(レース中の事故死・34歳)……攻撃的天才の死
金日成(心筋梗塞・82歳)……どうする? 銅像と肖像画は
吉行淳之介(肝臓がん・70歳)……「真面目な蕩児」の病気人生
乙羽信子(肝臓がん・70歳)……「タカラヅカの娘」の一途な生涯
あとがき
■『人間晩年図巻 1995-99年』
1995年に死んだ人々
内村健一(腎不全・68歳)……「天下一家の会」という無限連鎖講を考案した男
金子信雄(細菌性敗血症・71歳)……「美少年」から「セコい親分」への道のり
城 達也(食道がんの肝臓転移・63歳)……「いつの日か,雲の彼方で……」
山田康雄(脳出血・62歳)……「ルパン三世」たちの人生
テレサ・テン(気管支喘息・42歳)……昼は鄧小平が語り,夜は鄧麗君が歌う
公文 公(肺炎による急性呼吸不全・81歳)……「ごくどう」したいから「公文式」を開発
1996年に死んだ人々
横山やすし(肝硬変・51歳)……好きでもない酒で命を縮めた漫才師
司馬遼太郎(腹部大動脈瘤破裂・72歳)……「歴史青春小説家」から「憂国」の人へ
金丸 信(脳梗塞・81歳)……晩節ほど大事なものはない
難波康子(遭難死・47歳)……エベレスト大量遭難の一日
浅原正基(肺がん・79歳)……最後まで「ソ連」ひとすじだった「シベリア天皇」
フランキー堺(肝不全・67歳)……早熟の悲しみ
渥美 清(転移性肺がん・68歳)……渥美清として生き,田所康雄として死ぬ
1997年に死んだ人々
藤沢周平(肝不全・69歳)……「普通」であろうと努力した作家
鄧 小平(パーキンソン病と肺感染症の合併症・92歳)……不倒翁倒了
萬屋錦之介(中咽頭がん・64歳)……多病多婚
大津高幸(喘息発作・51歳)……「あさま山荘」で狙撃された機動隊員
勝新太郎(下咽頭がん・65歳)……「映画スター」を演じきった男
ダイアナ・スペンサー(交通事故・36歳)……やっぱりシートベルト
金杉忠男(がん・56歳)……下町の「追憶の天才」
伊丹十三(自殺・64歳)……自在な「容器」の華麗な「退屈」
三船敏郎(多臓器不全・77歳)……几帳面な乱暴者の生涯
1998年に死んだ人々
剣晃敏志(汎血球減少症・30歳)……「大食細胞」に敗れた力士
尾嶋 彰(殺人被害・56歳)……パリの空の下,殺人者も闊歩する
ポル・ポト(死因不明・69歳または72歳)……何が悪かった?
秋野 豊(殺人被害・48歳)……タジキスタンの山中で殺された研究者
森安敏明(心不全・50歳)……「豪快」であろうとした青年の軽率な失敗
村山 聖(膀胱がん・29歳)……青春即晩年
村山 実(直腸がん・61歳)……「永久欠番11」の震災体験
横井英樹(虚血性心不全・85歳)……火葬場で転がり出た銃弾
木下恵介(脳梗塞・86歳)……「仕事は楽しいに決まっている」
1999年に死んだ人々
芦田伸介(肝臓がん・81歳)……退職後の『七人の刑事』
スタンリー・キューブリック(心臓発作・70歳)……「才能あるイヤな野郎」
江藤 淳(自殺・66歳)……嵐は人の気持を砕く
寺尾五郎(大腸がん・78歳)……ものごとは見たいように見える
あとがき
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