内容説明
「汝の名は『秋』、夏に続く者」――
かつて、神々たる四季は人間の一部に自らの力を与えた。春夏秋冬の季節を顕現する者は“四季の代行者”と呼ばれ、権能を得た者達は、人の身でありながら季節そのもの、つまり現人神となった。
時は移り変わり黎明二十一年仲春。
大和国の秋の代行者、祝月撫子は春を満喫していた。傍らに控えるのは護衛犬の花桐、侍女頭の真葛美夜日、若き側近の白萩今宵。そして撫子の初恋の人であり、代行者護衛官でもある阿左美竜胆の姿があった。彼らの和やかな日々は、ある外交問題によって突如霧散していく。
彼の国の名は橋国。海を挟み、大和から遠く離れた場所にある異郷の地。
陰謀蠢く橋国からの要求は、秋陣営をかつてない窮地へと追い込んでいく……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
星野流人
45
今回は秋のお話。代行者たちの中でも特に幼い撫子の、その生い立ちにまつわるエピソード。上巻の時点では撫子があまりにかわいそうで、救いがないまま下巻への引きと相成りました。どうなる、秋……。いや、竜胆を信じるしかない。今回は海外が舞台ということもあり、今までとはまた違った立ち回りの代行者が現れたりと、世界観が広がっていった感じです。春と夏の物語を経て、狼星や瑠璃がそれぞれ成長したことが実感できるシーンが多くあり、良かったです。少女のような見た目の侍女頭・真葛さんと、護衛犬・花桐が可愛かったです2024/03/06
よっち
38
護衛犬の花桐、侍女頭の真葛美夜日、若き側近の白萩今宵に囲まれて、ようやく春を満喫できるようになった大和国の秋の代行者・祝月撫子。しかしそれも外交問題によって突如霧散していく第六弾。海を挟み、大和から遠く離れた場所にある、異郷の地・橋国から当地の秋の代行者に会って欲しいという要請。積極的には引き受けられない状況で、四季代行者間のやりとりの末に結成された訪問チーム。訪問先での唐突な提案もあって、橋国側の不穏な状況も垣間見えるようになってくる中、様々な思惑が絡んだ末での襲撃は…今後の展開が気になる結末でしたね。2023/11/10
y--75
30
橋国ってモデルはアメリカだよね。現実とは似て非なる世界だから、全く同じというわけではないけど。宗教の問題といい、随所に社会への批判が垣間見える。最後は「え!?」と言いたくなるような展開になって次巻へと続く。2023/11/12
よっしー
25
思った以上に撫子の過去が壮絶でした。自分が要らないものにならない為に周囲の顔色を伺い、自分の感情を押し殺し、その時の最善と思われる選択をする。それを幼い頃からしているのだと考えると…本当にツライです。話としては、大和以外の国の登場に始まり、外交問題へ。途中で中弛みした感じがあったのですが、終盤怒涛の展開へ。もう、続きが気になって仕方が無いです!!2025/02/19
starly
24
現人神達の物語、秋の章。 メインは何と言っても秋の代行者、撫子ちゃん。それに加えて夏、冬の代行者達と護衛官の協同任務。上巻はあまり春の出番無し。大和から出て初の海外での任務。海外にも大和と同じく代行者や護衛官、射手もいるようで今のところ海外の秋の代行者、護衛官が登場。初の海外の撫子。不安や怖さを胸に抱いてるものの代行者としてしっかりしないと…と幼いながらに色々と大人の事情を汲み取って思考。早く大人になろうと焦る撫子。秋のメインのお話との事もあり、彼女をより詳しく知る事が出来た上巻。2023/11/22