内容説明
「俺は日本の船すべてに俺の発明した帆を掛けさせたい」。江戸後期、播州高砂の漁師から廻船問屋を営む海商にまで上り詰めた松右衛門は、千石船の弱点である帆の改良に取り組む。船が速くなれば、流通が盛んになり民の生活が潤(うるお)う。仕事とは世のため人のためにするもの――。松右衛門は試行錯誤の末、板のように強く羽のように軽い「松右衛門帆」を発明する。日本海運業の革命児を描く歴史長編。(解説・高島礼子)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゴルフ72
11
玉岡さん久しぶりの作品を読了!江戸時代帆船は諸国へ運ぶ重要な交通手段だった。そんな帆船ではあったが,帆自体が強靭でなかったため帆船事態の良さが十分に出ることはなかったため流通は時間を要していた。そんな時代、高砂の船乗り松右衛門さんが強靭な帆を木綿を基に発明する。幼少の時代から青年・壮年そして晩年にかけての彼のすべてが此処にある。心躍る壮大な彼の生涯が本の中で駆けぬける。心地よい余韻を感じながら・・・2023/12/24
びぜんや
3
“松右衛門帆”で江戸時代の日本に海運革命を起こした男・工楽松右衛門を描いた歴史小説。時に物語の先、あるいは遠い将来を仄めかす語り口は評伝ぽくもありますし、湊々の女たちとのロマンスもまた読みどころ。しかしそれ以上に自らの才と工夫と力とで、この国を囲む海を駆け巡る男の海洋冒険小説という色彩が強く、心が躍ります。利を求めず、人のため、人に役立つために工夫を惜しまない松右衛門の生き方は痛快で、ヴォリュームたっぷりの一冊ながらもっともっと読みたいという気にさせてくれます。5つ星。★★★★★2024/10/03
いえのぶ
2
江戸時代に帆布を発明した船乗りの伝記小説。高砂の漁師の子として生まれ、船乗りとして成功する。工夫が好きで、帆布を改良して帆布を発明する。さらに、船を留める港も択捉、函館、小倉などで浚渫や防波堤などに携わる。舟運で得た益を舟運が発展し、多くの人が幸福になるために使った。鞆の浦は昨年のサイクリング旅行で立ち寄った場所だった。2024/03/07
好奇心
1
初めて耳にする名前であった、工楽松右衛門こんな、とんでもない人物が鎖国中の我が国に存在していたか驚いている、漁師~沖船頭~独自の帆船の帆を考案し商売に繋げる・天文の知識を得~海商になり財を築く~港湾土木の祖となり・日本各地の港湾を築き、明治中期まで外国の蒸気を利用した船が、導入するまで海運業のトップだった ,直係には恵まれなかったが、二人の妻に恵まれ、大往生を遂げた、この才能は何で備わったのか?努力か?持って生まれたものか?近代日本に生まれていたらと思う・・・2024/04/08
栞
1
港を見る目が変わりました。一度、高砂に行ってみたい2024/02/13