文春文庫<br> 汚れた手をそこで拭かない

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文春文庫
汚れた手をそこで拭かない

  • 著者名:芦沢央【著】
  • 価格 ¥770(本体¥700)
  • 文藝春秋(2023/11発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784167921255

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内容説明

もうやめて……ミステリはここまで進化した!

第164回直木賞候補作。

ひたひたと忍び寄る恐怖。
ぬるりと変容する日常。

話題沸騰の「最恐」ミステリ、待望の文庫化。

閉鎖空間に監禁された
デスゲームの参加者のような切迫感。──彩瀬まる

平穏に夏休みを終えたい小学校教諭、元不倫相手を見返したい料理研究家……。きっかけはほんの些細な秘密だった。

保身や油断、猜疑心や傲慢。
内部から毒に蝕まれ、
気がつけば取返しのつかない場所に立ち尽くしている自分に気づく。

凶器のように研ぎ澄まされた“取扱い注意”の傑作短編集。

解説=彩瀬まる

※この電子書籍は2020年9月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ふじさん

114
忍び寄る恐怖、まさに現代サスペンス。自分のしたことが人の死に繋がってのではないかと悩み苦しむ男、プールの蓋をし忘れ水を出しっぱなしにし、その後始末に振り回される教師、認知症の妻を抱えた男の苦悩、映画の撮影中に俳優の薬物中毒が分かり、思わぬ事件に巻き込まれる映画監督、元彼を見返すために金を貸したためにその男に翻弄されることになる料理家等。日常のちょっとしたことがきっかけとなり、崩壊する人生の様を巧みに描くサスペンス、なんか怖い。まさに、汚れを簡単に拭こうとするとかえって汚れは広がるばかり。タイトルに納得。2024/03/09

109
短編集。芦沢央さん作品好きです。ちょっとしたミス、軽はずみの言動。日常に有り得そうな出来事が、どんどん取り返しがつかなくなって、一人では修習不可になって、他人に利用され巻き込まれ。こういうシチュエーションを書いたら、芦沢さんは巧いと思います。どうにか周りに気づかれずに済ますことは出来ないものかと思う状況が発生したりするけれど、とりあえず起こってしまったら即報告が一番だなと身に沁みます。口は災いの元。見栄を張るのも口車に乗せられるのも絶対だめですね。2024/04/02

yukaring

97
心に隙間に忍び寄る「ちょっとくらい・・」という邪な気持ち。ついつい一線を踏み越えてしまい変容してしまう日常と取り返しのつかない場所に立ち尽くす人々。心の底にどろりとした滓を残すような短編集。高い梯子から落下して死んだクレーマー。彼が死んだのは誰のせいなのか?職場でおかしたミスを隠蔽したいがために必死で小細工を弄する小学校教諭、ある出来事から亡くなった隣人に対する罪悪感で苦しむ男性と彼が知った真実、元不倫相手を見返したかった料理研究家など出口のない迷路にはまりこんでしまった人々の末路を描くホラーミステリ。2023/11/14

かぷち

86
ほんの些細なミス、隠したってバレないだろうという軽い気持ちが後々大きな後悔を生むことになり… 誰にでも起こり得るシチュエーション、しまったという結末まで読者に共感させる手法が上手い。誰かに見られているかもしれないと一度疑ったが最後、後ろめたい気持ちは放っておくと膨らむ一方。見つかるのは怖いけど、同時に安堵もするような。プールの水を誤って抜いてしまった事で焦って泥沼にハマる『埋め合わせ』、忘れて欲しいけど忘れて欲しくない夫の心理が切ない『忘却』が特に良かった。2023/11/18

森オサム

66
これもタイトルが秀逸で読みたかった一冊。が、タイトルだけで「汚れた手をそこで拭かない」と言う話は無いのね…。さて、読後感の悪さはイヤミスでしょうが、私的にはサスペンス、スリラーと言う感じ。誤魔化さず最初から素直に白状していれば、と傍から言うのは簡単ですが、当事者からすれば無かった事にしたい!と思う気持ちも分かるしね。今回は負のスパイラルに落ちた方々に同情すると共に、悪いことをしたから悪いことが起きるとは限らないんだよ、と言う印象的なセリフがとても響き、自分にこんな事が起きませんように、と祈りたくなった。 2023/12/28

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