内容説明
先のグレゴール・キラー事件から二か月。その功績を認められ、刑事課強行犯係特別事案対策班(通称 『別班』)に配属された加地谷と浅羽が新たに捜査に当たるのは、帰宅途中に殺害された女性の遺体が、まるできれいに清められたかのように安置された『エンゼルケア殺人事件』。再び道警本部捜査支援分析室の天海伶佳らとともに捜査を進めるうちに浮かび上がってきたのは、十五年前に発生した少女殺人事件と、死亡した少女の遺族である一人の青年の存在。そして、数年おきに発生している女性の不審死事案だった。伶佳の同僚であり心理分析官の御陵伽耶乃は、プロファイリングによってその青年、青柳史也こそが殺人犯であると睨む。しかし加地谷は、青柳史也がプロファイリング通りの凶悪な連続殺人犯だとはどうしても思えなかった。次第に明らかになってくる兄妹の秘密。そして、メアリー・シェリー作の『フランケンシュタイン』に心を囚われる史也と、彼を慕う一人の少女。少女の身に危険が迫るとき、二人の刑事はその手に銃を握り……。上巻に続き、奇妙な古書に導かれた殺人犯を二人の刑事が追う。猟奇事件×スーパーナチュラルミステリーの後編!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ままこ
70
シリーズ2作目。『別班』に移動させられた加地谷刑事と浅羽刑事。殺されたのに安らかな格好をさせられた遺体。何故犯人はそういうことをしたのか…。今回の引用は『フランケンシュタイン』。新たな登場人物もクセが強いな。伽耶乃が加地谷に残した意味深な言葉がシリーズのカギとなりそう。2024/03/10
yukaring
70
"バベルの古書"が絡む猟奇事件の第2弾。まるで清められたかのように整えられた女性の遺体。通称〈エンゼルケア殺人事件〉は未解決のまま時が過ぎるが15年後よく似た殺人事件が発生、今回も若い女性が木の根元に美しく安置されていた。猟奇的な事件と合間に差し込まれる子どもたちの手紙のやり取り。この無邪気な手紙が不穏さを掻き立てる。前回の事件で暴走しつつ事件を解決した加地谷と浅羽は『別班』に追いやられながらも心理分析官と共に犯人を追う。今回は"フランケンシュタイン"がモチーフ。オカルトとミステリの案配が程よくて楽しい。2023/12/09
眠る山猫屋
67
オカルト寄りのミステリなのか。前回のグレゴールキラー事件の解決も評価されず、特命係的なポジションに追いやられている加地谷と浅羽。さらに支援分析室の天野怜佳が連れてきたプロファイラー御陵伽耶乃に引っ掻き回されるはめに。死体を綺麗に弔うエンゼルケア殺人、関わる書物は『フランケンシュタイン』。怪物とヴィクター・フランケンシュタインの相剋の関係は、事件の反転した写し絵。離ればなれの二組の兄妹は、無事生還できるのか。解決後の余韻が仄かに暗い。次は何の書物を送り出してくるのかBABEL。2023/12/06
sin
66
物語といえど、たとえ大都会でも続けざまに猟奇犯罪に出くわすのは不自然な感じが否めないが、北海道の地方都市?で、こうして連続して猟奇事件がおきてしまうのは、タイトルの古書が存在することでその違和感を回収しようとしている。この先如何に展開するかに依って物語の良し悪しに大きく影響するように思える。事件の衝撃的内容からホラー寄りのミステリーが十八番の内藤了が“やられた!”と評されたらしいが、この作品ではあからさまな霊の登場が酷たらしい犯行にマイナス要素に感じられてしまい内藤作品のインパクト程ではないように思える。2023/10/31
さっちゃん
43
前作の事件から2ヶ月後、加地谷と浅羽は特別事案対策室へ異動(というより左遷)。そこで「エンゼルケア殺人事件」を担当することに。前作登場の道警の天野伶佳と心理分析官の御陵伽耶乃が加わり捜査を進めていくうちに、加地谷は過去の事件との繋がりに気付く…。/がっつり前作のネタバレがあるので読む順にご注意を。今回は前作よりオカルト風味増量。これは調書には書けないよね。殺人事件の真相よりエピローグで浅羽から聞かされる彼女の情報に驚かされた。謎の古書やその古書に記された「BABEL」の文字は何なのか。今後の展開が楽しみ!2024/07/18
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