資本主義の〈その先〉へ

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資本主義の〈その先〉へ

  • 著者名:大澤真幸【著者】
  • 価格 ¥2,420(本体¥2,200)
  • 筑摩書房(2023/10発売)
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  • ISBN:9784480867438

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内容説明

「終わり」が語られながらも、“その先”が見えてこない資本主義。資本主義の概念を大幅に刷新し、“その先”へ行くための原理を示した決定的論考! 異なる世界の可能性。

目次

はじめに/第1章 終わらぬ終わり/1 「下部構造/上部構造」図式を超えて/2 賭博と黙示録/3 時間かせぎの資本主義/4 安楽死か、それとも終わらない延命か/5 量子論の裏返し/6 生産力と生産関係の矛盾/7 ただ一つの資本主義が残る?/第2章 剰余価値はいかにして生まれるのか/1 労働価値説・再考/1‐1 資本主義経済とは/1‐2 流通の公式/1‐3 抽象的労働/1‐4 資本主義のもとでの貨幣──商品の物神性/2 利子の謎/2‐1 利子生み資本/2‐2 罪の中の罪/2‐3 メディチ家の金融技術/2‐4 ヴェネチア市民は何になったのか/3 予定説の逆説/3‐1 資本主義の精神……時は金なり/3‐2 カルヴァン派が有力だった地域/3‐3 予定説の謎/3‐4 一神教の理念型/3‐5 「予定説」を信ずると……/3‐6 商品の「命がけの飛躍」──最後の審判としての/3‐7 「終わり」の反復/4 剰余価値の生成/4‐1 標準的な説明/4‐2 商人資本/4‐3 相対的剰余価値/4‐4 価値体系の時間的差異の含意/4‐5 創造的(自己)破壊としてのイノベーション/4‐6 勤勉革命 Industrious Revolution の本態/4‐7 資本主義的衝動/5 資本としての概念、そしてコギト/5‐1 平均利潤率と総資本/5‐2 概念を生む概念/5‐3 資本の極限としてのコギト/第3章 増殖する知──資本のごとく/1 剰余権力/1‐1 規律訓練型の権力/1‐2 絶対王政の権力/1‐3 不可視である限りで……/1‐4 剰余権力/1‐5 承認の循環を超えて/2 科学革命の可能条件──万有引力から考える/2‐1 科学革命/2‐2 タブローとしての絶対空間・絶対時間/2‐3 武器軟膏と万有引力/2‐4 共感と反感のネットワークとしての宇宙/2‐5 最後の魔術師としてのニュートン/2‐6 鶏と神/2‐7 抽象的労働力と物理学の「力」/3 増殖する知/3‐1 剰余知識/3‐2 「われわれは知らない」/3‐3 「知への欲動」はない/4 経験をまったく信じていないのに……/4‐1 認識と経験の分離/4‐2 認識と経験のひとつの主体/4‐3 経験を信じられないのだが……/4‐4 common の地位の逆転/4‐5 真理の内容的普遍化と社会的普遍化/5 知の階級的な分布/5‐1 智恵と技術知/5‐2 「知は力なり」──資本主義とともに/5‐3 真理ではなく「真理の候補」/6 懐疑と信仰/6‐1 空白のある世界地図/6‐2 懐疑と信仰の合致/6‐3 理性の不安とその克服/6‐4 帰納法/6‐5 プラグマティズム/6‐6 投資と探究、そしてアブダクションとしての予定説/第4章 神に見捨てられた世界の叙事詩か?/1 小説という新奇な文学様式/1‐1 「小説」とは何か/1‐2 小説が登場した社会的環境/1‐3 「普通の人の日常生活」を読みたい?/2 小説の極限にある役立たない辞典/2‐1 「リアリズムの巨匠」の遺作/2‐2 二人の写字生──法外な失敗と書き写しの作業/2‐3 流行語の言説/2‐4 「知っていること」と「語ること」の関係/2‐5 問題の言説/2‐6 「国民」と「小説」/3 不可能な告白を通じて──〈主体〉の生成/3‐1 日記を書くピューリタン/3‐2 個体を捉える権力/3‐3 告白としての日記/3‐4 告白は不可能だ……/3‐5 徹底された〈従属性〉──〈主体〉の生成/3‐6 「私はパミラ……」/4 キリストの不信の回帰/4‐1 未熟児のような小説/4‐2 ひとつの足跡/4‐3 神もまた知らない?/4‐4 小説の不安/4‐5 キリストの懐疑/5 神に見捨てられた世界の叙事詩?/5‐1 小説の18世紀的段階から19世紀的段階へ/5‐2 みなし子の逆転勝ち/5‐3 チェスではなくサイコロ賭博/5‐4 偶然性の役割/5‐5 科学の場合/5‐6 「プロット」と「全知の語り手」/6 虚構性の勃興/6‐1 小説における「虚構性の勃興」/6‐2 小説と予定説/6‐3 叙事詩の時間と小説の時間/6‐4 あの駅のホームで/6‐5 可能なる人生の重ね合わせ/6‐6 現実の否定の否定/7 資本主義と連動する小説/7‐1 偏心していく人生/7‐2 「流行語/問題」の二重性/7‐3 二つの不安/7‐4 小説はどこに向かっているのか/7‐5 小説の極限としての『紋切型辞典』/7‐6 小説と資本主義/第5章 〈その先〉へ/1 科学の言説と小説の言説──無限に対する二つの態度/1‐1 絶対王政と資本主義/1‐2 無限集合/1‐3 無限に対する二つの態度/1‐4 科学にも小説にも──〈その先〉への暗示がある/2 「資本主義の終焉」の話題でもちきり/2‐1 致命的な持病をたくさんもつ病人/2‐2 偽物資本主義=本物資本主義/2‐3 「資本新世」の環境破壊/2‐4 抽象的・論理的なレベルでユートピア的ヴィジョンを/3 プロレタリアートとは何か/3‐1 労働者=消費者という矛盾/3‐2 なぜ階級は二つなのか/3‐3 労働者の規律訓練/3‐4 Klasse と kl sis/3‐5 召命の二つの力──身分から階級へ/3‐6 階級闘争──社会の「内部/外部」として/3‐7 資本に包摂されきらない知/3‐8 科学──敵か味方か/4 交響圏とルール圏/4‐1 交響するコミューン・の・自由な連合/4‐2 資本主義的な「普遍」の中で/4‐3 標準性と共通性/4‐4 関係の二重の様態──自己獲得的/自己疎外的/5 「普遍性」から〈普遍性〉へ/5‐1 究極の実例──中村哲とペシャワール会/5‐2 徹底した現地主義、しかしふしぎなことに……/5‐3 内在する外来者/5‐4 三位一体論、そして「斜めから見返される」体験/5‐5 「普遍性」を超えて/5‐6 「答え」を知らない者として/5‐7 〈普遍性〉/6 コミュニズムへ/6‐1 プロレタリアの連帯/6‐2 ランダムな太い線/6‐3 ルール圏をともなうコミュニズム/6‐4 国家/6‐5 民主主義/あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ころこ

48
『プロ倫』の予定説が引かれて議論の方向性はみえてくるが、本書で注目するところは近代の知のあり方を科学と小説を通じて考察している第3章と第4章だ。近代科学においては、知は不完全で、いくら知ってもなお十分には知らないという状況が続く。不完全な知から科学は経験を頼りにして知恵と技術知の交流が生じる。科学はテクノロジーから剰余知識へと結実し得る発見や工夫を引き出し、同時に新しいテクノロジーの開発に貢献する知を提供する。伝統的な知にはみられなかったこの様なサイクルは資本の回転と似ている。小説はプロテスタントが付けて2023/09/25

TATA

23
経済学というよりは社会学全般の一冊。歴史、文化、宗教とアレコレと論が飛ぶのでひどく読みにくく感じる。資本主義論のつもりで読むとやたらと手こずりました。2023/11/03

ta_chanko

22
資本主義とは資本の無限の増殖により剰余価値を生み出すシステム。昨今、資本主義の終焉が叫ばれているが、そもそも資本主義は無限に終わらないシステム。ただ地球環境を破壊して持続不可能に陥ることはあり得る。近代科学も小説も、資本主義と同じキリスト教(予定説)的な精神構造から生まれたもの。搾取・疎外・格差などの問題を生み出す資本主義を乗り越えることは可能なのか?アフガンで活躍した中村哲さんの行動がそのヒント。難解な読書だった。2023/08/04

Mc6ρ助

20
暑さのせいか、寄る年波のせいなのか、これもまた「手を出してはいけない本」分類なのか。良く分かったのは、資本主義がそれ自体では成り立たず(消費資本主義、資本が利益の抜く分だけパイが漸次小さくなる)外部からの搾取(正当な理由に欠ける分配、政権党の裏金みたいなもんだ)が前提なんだってこと。さすがはアベノミクスがマヤカシとみんながいうのに10年もかかる、経済や経済学って魑魅魍魎の住まう世界(メディチ家の利殖、「差異」が利益を生むって(p77)、う〜ん)。2024/08/03

izw

8
資本主義終焉説が出てくる中、資本主義はしぶとく継続している。資本とは何か、資本主義とは何かの根本を丁寧に探ると、キリスト教の予定説、科学の増殖する知、新しい文学形態である小説との関連が見えてくる。その長い考察の後に、<その先>を考えると「互いの間をつなぐ太い線をもったコミューンたちの集合という形態」をとることになるという。何のことかよく分からないとは思うし、読み終えてもしっくりとはこない。何とか読み終えたが、論理展開をきっちり終えたとは言えない。難しかったという印象だけが残っている。2024/02/23

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