内容説明
ケンブリッジ大学の貧乏学寮セント・アガサ・カレッジ。カレッジの学寮付き保健師(カレッジ・ナース)イモージェン・クワイの家に下宿する学生フランが、ある数学者の伝記を執筆することになった。今は亡きその数学者は立派な人物ではあったものの、生涯であげた目覚ましい業績はただひとつだけ。しかも、フランは伝記を手掛ける初めての人物ではなかった。伝記の執筆がこれまで途切れてきた原因は、数学者の経歴でどうしても詳細が不明な1978年の夏の数日間にありそうで……。好評『ウィンダム図書館の奇妙な事件』に続く、実力派作家によるシリーズ第2弾登場!/解説=古山裕樹
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナミのママ
69
シリーズ2作目。前作はケンブリッジ大学内の図書館が舞台、今作は大学が舞台。伝統ある組織は名声や守る物があり大変そう。人柄が魅力的な主人公クワイだが、下宿させているフランとの関係も自然体で好感度アップ。フランが引き受けたある数学者の伝記執筆をめぐってきな臭い過去が発覚。少し前までの女性の立場や受け継がれた伝統ある手仕事など、ストーリーを肉付けし重厚で上質なミステリ作品。最近の翻訳文庫にしてはページ数も手頃、色々な意味で読みやすかった。2023/11/07
あたびー
37
ケンブリッジ大学付き保健師 イモージェンシリーズの2作目。賞を取ることになった数学者の伝記を書こうとした人物が次々死亡したり行方不明に。お鉢はイモージェンの下宿人フランに回ってきたが…。幾何学とキルトの関連性や、ケンブリッジの黒歴史にも触れるストーリーで、興味を引かれる。ラストは清々しい気持ちに。処で前作の下宿人の教授はどこへ行っちゃったのだろう?下宿人がフラン1人みたいなのだが、イモージェンの収入は大丈夫?などと余計な心配をした。2023/11/22
翠埜もぐら
27
夫の唯一の功績を守るために妻が罪を犯していく、というのは最初からほぼ判っていたのですが、もう一ひねりしていて、なぜ妻はそこまで拘ったのかというのが面白かった?いや何やら寒気がしました。愛じゃないのね。そして保健師イモージェンさん。人生の最初の方で派手にけっ躓いてそのあと堅実に人生を送っていますが、用心深さと好奇心とアクティブさが程よくブレンドされていて、安心しつつ楽しんで読んでいられます。作者がすでに亡くなっているのであと二冊しかないそうですが、刊行予定だそうなので楽しみに待ってます。2024/03/25
kyoko
24
冒頭からのキルト制作場面、わたしもパッチワークとか好きなので興味深く読んでいった。それがこうつながるとは・・・凄惨な場面はなく、穏やかな性格の主人公が周囲の人々の気持ちを尊重しながら堅実・着実に行動していく。この雰囲気がとてもよかった。2024/02/02
maja
21
保健師イモージェン・クワイのシリーズ2作目。下宿人の大学院生フランが教授からのバイトで大きな業績を残した数学者の伝記を担当することになった。やる気満々でとりかかるフラン。お気に入りの彼女を応援するイモージェンだが・・。つきあいに世話を焼くも変わらず人との距離感がいい感じのイモージェンが魅力の安心して読める雰囲気のシリーズ。しかし、何の関係が?!と思うところがこうなるという驚きの解明。2024/02/12