内容説明
「結婚したら小説が書けなくなる」。プロポーズをいなす津村を吉村は何度もかき口説いた。「書けなくなるかどうか、試しにしてみてはどうか」。そして始まった二人の人生は、予想外の行路を辿っていく。生活のための行商旅。茶碗が飛ぶ食卓。それでも妥協せず日々を積み重ねる二人に、やがて脚光が……。互いを信じ抜いた夫婦の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
レモングラス
98
吉村昭さんの随筆は数冊本棚にあり、時折読み返すが、吉村さんを穏やかな優しい方だと思っていたので衝撃が大きかった。夫婦喧嘩はすさまじかったとのことで、ご長男の司さんが小学生の頃には「親父が手をあげて、おふくろを殴ることもあった。おふくろは気絶したこともあったんじゃないかと思います。親父がおふくろの下着をびりびりに破ることもありました‥」。吉村さんといえば旅先からの奥様への手紙にも賛辞を惜しまなかった人。吉村さんで、こうも我儘で癇癪持ちなら、頑固で理不尽なご年配の方とは距離をしっかり置こうと学びが大きかった。2024/01/08
mondo
64
タイトル通り、吉村昭と津村節子の波瀾万丈のおしどり夫婦の物語。これまで吉村昭さんのエッセイも読んできたので、吉村昭さんの生い立ちや家族に対する思い、独自の流儀を時々思い出し、笑ったり、泣いたりしながら一気に読み終えました。谷口桂子さんの吉村昭さんと津村節子さんに対するあたたかい想いと、取材力の素晴らしさから、エッと驚くような思い出話も出てきて、おしどり夫婦の意外な横顔も知ることができます。また谷口桂子さんのユーモアセンスも見逃せません。この吉村昭と津村節子の波瀾万丈の物語、是非「朝ドラ」で観たいものです。2023/10/23
fwhd8325
63
とても素晴らしいご夫婦であることは間違いありません。そしてお二人ともとても魅力にあふれた尊敬される小説家であると感じました。数々のエピソードは何度読んでも楽しく、心に元気を与えてくれます。中学生の時に初めて吉村さんの作品に触れたことを、とても感謝しています。2023/11/28
hiroshi
7
吉村昭が好きだ。しかし、ほとんど著作を読めていない。何だろうこの感覚。読みたい・読まなければのタイトルはぞろぞろ思い浮かぶのだけれど。希有な「作家同士」しかも「売れっ子」同士の夫婦像。「~文学漂流」は読んでいたのですんなり入り込めた。誰かも言っていたけど本書のタイトルが「?」な気も。もっとライバルで互いに認め合う「文士」同志のそれを彷彿とさせるような・・・・のが良いんじゃないかな。思い浮かばないけど。2024/01/20
榛名
6
吉村昭と津村節子の夫婦の歴史を、長男(両親とは違う分野でご活躍。なかなか個性的な方のようだ)と津村節子のインタビューを中心に第三者の視点でまとめた本。昭和の男吉村昭が「惚れ抜いて」結婚した「理想的な世話女房」だったはずの妻は、夫の才能を誰よりも認めつつも、それに負けることなく「私も書きたい!」という強い意志を持ち続けた。2人の生育歴から家庭内での意外な素顔、吉村昭がいわゆる「純文学」から「記録文学」に転向した事情など、読者としては「そうだったんだ〜」と思える興味深いエピソードがたくさん語られている。2026/08/01
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