内容説明
ペロポネソス戦役後、都市国家群の覇権はアテネからスパルタ、テーベへと移っていく。しかし、静かに進行していたのはま新しい時代への移行だった。ペルシアと同じ野蛮な王政を敷き、辺境の地と目されていたマケドニアを率いる若きフィリッポスは軍事改革を成功させ、カイロネアの会戦でついに都市国家連合軍を撃破。新時代の到来を準備したのだった。「ギリシア人の物語III 新しき力」分冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
107
やはり前巻に引き続いてのこの時代はあまり知らないことが多かったような気がします。アテネが没落しさらにスパルタからテーベへ覇権が移っていきます。日本で言えば戦国時代のような感じなのでしょうね。衆愚政治ともいえるような様相を呈しているところへ辺境の地であるマケドニアにフィリッポスが登場してきます。ファランクスという重装歩兵が出てきます。カイロネアの会戦の様子は、今読んでいるキングダムを思い出しました。2024/01/12
読特
41
ペロポネソス戦役。敗れたアテネ。デロス同盟が崩壊。経済大国としての機能も失う。落ちていく一方の市民生活。人材が輩出されない。凋落を受けいれるだけ…唯一の覇権国となったスパルタ。頑なに守り続けた古い政体がその立場に耐えられぬ。地位は維持できず…二頭政治で一時台頭したテーベ。2人亡きあとを継ぐ者がおらず衰える…主役交代。マケドニアへ。フィリッポス二世。満を持してのカイロネアの戦い。勝利の喜び。息子との確執。暗殺…都市国家たちの栄枯盛衰。一つ舵取り誤れば命取り。栄えた国も滅びるのが歴史。それは現代にも続く。 2023/10/18
piro
40
アテネの敗北によりギリシアの覇権を握ったスパルタ。しかし頑迷な保守派スパルタにギリシア全体を治める力量がある訳もなく覇権はわずか33年でテーベに渡り、そしてそのテーベもさらに短期間で覇権を失うという混迷期。前半はなかなか盛り上がらない内容でした。これはもうポリスの限界だったのかもしれません。そこへ来て同じギリシア人の国・マケドニア王国フィリッポス二世の台頭、ようやく読み物として面白くなってきました。さあそして次の最終巻はいよいよアレキサンドロス。2023/10/17
Shun
37
ペルシア戦役を勝利しギリシア世界において都市国家アテネの力量は軍事・経済共に示され文字通り覇権国家としての地位を築いた。しかしその覇権も長くは続かず次なるギリシアの強国スパルタにバトンは渡されたかに思えたが、質実剛健の気質は柔軟性に欠き時代の変化に対応できなくなっていた。泣く子も黙る重装歩兵で畏怖の対象になっていたスパルタブランドは次第に軽視されていき、ギリシア世界は混迷の時代を歩む。そして時代は新たな強国を迎える、それはオリンポス山の向こう側マケドニアの台頭である。次は最終巻、英雄アレキサンダーの登場。2023/11/26
ヨーイチ
35
文庫化されて全四巻中の三冊め。アテネ・都市国家全盛期が終わり、後進国だったマケドニア・アレクサンダー大王の国の隆盛まで。三巻だけヤケに薄い。初めがソクラテスの死で最後が若き王子・後の大王の初陣でのデビュー。なんか出来すぎだけど血湧き肉躍るって感じ。ミーハーとお笑い下さい。初学の者にもわかり易く、誠に結構。2023/11/22