内容説明
草原に生まれ、大地を駈け、かつてない規模の国を築いたチンギス・カンが、最後の戦場に立つ。
チンギスは病床にある長子ジョチのもとを訪れたのち、草原へと向かう帰還の途につく。西夏領内に入ったチンギスは、ある城にただならぬ気配を感じた。それは黒水城と呼ばれ、砂漠に囲まれており、ウキという謎の人物が主とされていた。一方、チンギスから受けた傷を山中で癒すマルガーシに、カルアシンから見事な剣が手渡される。贈り主は明かされなかったが、マルガーシは戦に向けて隊の修練を重ねていく。アウラガの宮殿に戻ったチンギスは、ソルタホーンから国を揺るがす一大事を告げられた。突如生じた戦いに、チンギスは将軍だけでなくボオルチュも帯同させる――。
「チンギス紀」全17巻、ついに完結。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
172
【チンギス紀完読プロジェクト】 https://bookmeter.com/users/512174/bookcases/11287876?sort=book_count&order=desc 全十七巻で完結、足掛け5年、6,000頁弱、完読しました。プロジェクト、コンプリートです。モンゴルの草原に吹く一迅の風の如く、去って逝きました。 https://www.shueisha.co.jp/kitakata/chingisuki/2023/08/28
パトラッシュ
123
ブルクハルトの「歴史はときに突如一人の人物の中に自らを凝縮し、世界はその後、この人の指し示した方向に向かう」との言葉を証明する筆頭はチンギス・カンだろう。草原を追われ裏町でくすぶっていた若者が、見える限りの大地を支配する帝王となるまでの劇的な生涯は、まさに歴史が乗り移ったが如き長い旅路だった。彼が思うがままに地図を塗り替えたため大量の血が流れ、多くの国や民族が滅び、広大なユーラシアの頂点に君臨する歴史が生まれた。ようやく終着点を迎えた一大叙事詩を前に「これは本当に存在した人なのか」とつぶやくしかなかった。2023/08/28
まえぞう
34
終わってしまいました。最後は金との残された戦いがあるので、あと1、2巻はあるかなぁと思っていたのですがねぇ。まあ、金との戦いの途中で亡くなったはずですし、チンギスらしくないので、締めはジャムカの息子との決戦を用意して、有終を飾らせてあげたという感じですね。2023/07/29
Book Lover Mr.Garakuta
29
【尼崎北図書館】【速読】:最終巻。草原を風のように疾駆して現れ、風のように走り去った。結構あっさりと死を迎えたが。戦争に明け暮れた人生だったんだなと思いました。文庫本を買いそろえたいと思っています。2023/08/26
てん
23
自分勝手に生き、地上最大の大帝国の王と成った男の物語の終り。最後の戦も、取って付けた様な花道的な舞台。こんなに自由に活動できないご老体が、先鋭部隊と組織的行動を取ったり、体力絶頂の息子世代の勇者に一騎打ちで勝ったり出来るんだろうか。今まで大水滸伝の志半ばに倒れた主役たち(岳飛はちょっと違うけど)よりお花畑感の有る、イエスマンだらけの中での終焉。終盤は主役よりサブキャラの方がよっぽど魅力的だった。人格者ジョチの最後は切ない。北方御大の発言から察するに、次の吹毛剣の所有者は日本人に成るんじゃないか。2023/10/11