内容説明
ウェーバー,ルカーチ,シュミットから,サルトル,フーコー,ハヴェル,ハーバーマスまで,二〇世紀ヨーロッパを舞台に,民主主義をめぐって数々の思想家たちが織りなしたドラマ.戦間期を扱う上巻は,民主主義の新しい思想的実践とその挫折を描く.戦後を扱う下巻では,冷戦下で三つの民主主義が競合し,文化変容を遂げる世紀末までを扱う.
目次
日本語版に寄せて
序章
第1章 溶融した大衆
(一部の人びとにとっての)安定の時代
(ほとんどの)みなさん、さようなら
自由主義者なき自由主義革命
ヴェーバーの問いかけ
壮大な実験
ヴェーバーの回答(一部の人びとのための)
第2章 大戦間の実験 人民の形成、魂の改造
多元主義の約束
教育の政治学
国民の家庭
政党と福音伝道者
新しい人民
第3章 ファシストの主体 全体国家と民族共同体
ソレルの神話
ファシスト的解決
全体国家の神話
塹壕経験者の支配か技術者の支配か?
……あるいは生物学による支配?
国家の死
諸国民なき広域圏
注
著者略歴
【上巻目次】
日本語版に寄せて
序章
第1章 溶融した大衆
第2章 大戦間の実験 人民の形成,魂の改造
第3章 ファシストの主体 全体国家と民族共同体
注
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
さえきかずひこ
10
20世紀初め第一次大戦とそのさなかのロシア革命を契機に、ヨーロッパ・ロシアにおける民主主義思想とその実践が始まり、第二次大戦のソヴィエト、ドイツ、イタリアによって危機に立たされるまでを慎重に資料を吟味したうえで論じていく。第2章の後半ではスターリンが扱われるため読みごたえが増してゆき、第3章ではファシズム的指導者と権威主義的指導者が対比的に扱われる。著者はそれぞれを安易に決めつけることなく、相違点や共通点を注意深く選り分けていくので、翻訳はとても良いが、そこまで読みやすくはない構成なのは原文のそれによる。2020/02/20
どら猫さとっち
4
20世紀のヨーロッパでは、民主主義はどのようにして始まり、独裁政権によって阻止されていったか。本書上巻では、第一次大戦からロシア革命、第二次大戦までを取り上げる。20世紀は民主主義と独裁政権のはざまで揺れ動く時代だったといえる。今も民主主義が揺れ動き、危ぶまれている昨今、本書が登場したのは、一種の警告といえるかもしれない。2020/01/18
バルジ
3
「自由主義」の死滅した戦間期ヨーロッパの「確たる精神」を求めて彷徨う政治家・思想家の遍歴を論ずる良書。それぞれが国家を統治する「確たる」イデオロギーを模索し現実と向き合い、ファシズム・ナチズム・スターリニズムへと結実していく様は圧巻。面白いのは前二者と後者の質的な差異である。スターリニズムはスターリン自身が語ったとされるように「統治機構」そのものとスターリンの「肖像」であった。そのため犠牲者たちは何が原因で捕まったのかを知らない。確たるイデオロギー的道筋を欠いた主義であった。ナチズムとの違いはここにある。2026/05/23
八八
3
現在、ドナルド・トランプの大統領就任や右派政党の伸長など"民主主義"を揺るがす問題が巻き起こっているという声は大きい。では、その揺るがされている民主主義とは一体なんなのだろうか?本書は現在の民主主義が如何なる形で形成されていったのかをヨーロッパを中心に描く、上巻ではそれ以前の体制や文化を破壊した第1次世界大戦後に信頼の出来なくなった君主政に代わり政治体制・思想がどの様に構想されたのかについて叙述する。マックス・ウェーバーの考えから出発し、ボルシェビスムやファシズムなどの民主主義の実験的試みを扱う。
うんとこしょ
2
エリートたちによる討議を前提とする19世紀型自由主義の崩壊後の大衆民主主義状況に対する試行錯誤が描かれる。民主主義を成立させるには同質性が必要だが、この「溶解した大衆」をどのようにしてまとめあげるか。ミューラーは、第一次世界大戦とロシア革命というインパクトに対応したヨーロッパの諸思想と諸体制を比較してゆく。20世紀後半の、民主主義と自由主義が結合するいわゆるリベラル・デモクラシー体制なるものは、20世紀前半のヨーロッパにおいてもまったく自明ではなかった(そもそも不在?)、ということが間接的に示唆される。2022/06/03
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