内容説明
日本はなぜ、
ここまで息苦しいのか?
日本人は、なぜこれほどまでに「同調圧力」に弱いのか? 私たちの心と行動から自由を奪う「見えない力」をさまざまな角度から分析し、その構造を読み解き、正体を浮かび上がらせる、現代人必読の書。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
breguet4194q
116
なかなか面白かったです。見えないが空気の様に確実に存在する同調圧力。凄惨な歴史を振り返えると共に、現実の生活の中にも、大なり小なりの影響を与えている事を教えてもらった感じです。大方悪いイメージしかないのに、人間は逆手に取って利用しているのも事実。確かにそうだなと思える部分が、面白くも情けない。結論の主張がやや弱いのが残念。もうちょっと説得力が欲しかったです。2023/12/05
trazom
106
戦史研究家の著者は、この国の同調圧力の源泉を大日本帝国時代に見る。でも、軍の暴力や特高監視下の全体主義の時代と、自由社会の現代の状況を同一視するのが正しいのだろうか。私はむしろ、同調圧力を訴える現代人の多くが、実は「その方が楽だ」として、戦おうとしない口実にしているように思える。更に、同調を強いる権力以上に、仲間たちの間での、同調しない者への陰湿な攻撃も問題だと思う。尤も、時代は移れど、報道によって多数派のイメージを創出し、国民を同調圧力へ誘おうとするマスメディアの振舞いだけは、戦前から何も変わらない…。2023/11/14
KAZOO
104
同調圧力と最近では言うのでしょうか?日本人というのは何事にも熱しやすく冷めやすいという傾向があります。マスコミやネットの影響が大きいのでしょうね。昔も同じようなことが軍隊でも起きていたことを山本七平さんが「空気の研究」で書かれていたと思います。また最近では鴻上尚史さんや中野信子さんも書かれています。この本では最近の事例などを政治・社会などはから拾い上げてわかりやすく説明されています。同調圧力の結果が忖度という事になるのでしょうね。2023/12/25
たまきら
47
あまりにも当たり前になってしまって、もはや気づくことすら億劫。現在の同調圧力は疲弊しきった人々の上にふわふわと降り積もり、その先を見通すことも難しい。圧力と言うより同調無気力?無関心?そう、流されるのは一見ラクだ。誰かが自分の代わりにすべてやってくれる。その繰り返しが今、ここだ。危機感を持つ人は一人ではない。サイレントマジョリティかもしれない。ただ、団結できないのだ…。2023/11/30
kawa
34
良書。戦争中の特攻の強制に見られるように、日本人の空気の読み過ぎ、その場の雰囲気同調しすぎ傾向は他国と比較しても格別のように見える。教育現場でも「みんなが我慢しているんだから、お前も我慢しろ」と非論理的な説諭が当たり前に横行していると著者は述べる。戦後何より反省しなければいけなかったことは、世間の同調圧力に屈しない「個の確立」を実現することだったのではないかと思う。「自由と調和」のバランスのなか、もうちょっと「自由」を大切にそういう態度を尊重できる人材を教育現場で育てていくことが必要なのだろう。2023/10/14