内容説明
「心理臨床とは、その個人がより生きやすくなることを、心理学の理論に基づいた技法を用いて援助していくことである」(著者識す)。
本書は,村瀬嘉代子の「心理臨床」を理解する上での重要な論稿を収録し,著者が日常臨床を通じて帰納法的に会得した技術や知見を数多く紹介した実践編である。
心理療法の理論や技法を生活に繋ぐ意味とは何か。対人援助職の要諦は,クライエントの生活を視野に入れることである。本書収録の1980~90年代の時期の村瀬の臨床論文は,質・量ともに圧倒的なスケールのものとして表されている。それらは、臨床心理学の世界にある者にとっての黄金の羅針盤ともいうべきものであった。本書は、その奇跡の著作群からセレクトされたエッセンスである。
クライエントからの視点を鍵概念とした一連の秀抜な治療者―患者関係論。それらは,読後すぐに実践応用しようとする操作的マニュアル的なこととは無縁ともいえるものである。そこにある発想の深みや治療の多様性は,時間をかけて自らの頭で考えることのできた者にのみ心理臨床の「常識」となるものといえよう。
目次
序 目前の課題に導かれて―心理臨床の今とこれから
□第I部 児童期・思春期を考える
思春期心理療法の特有な困難さ
発達課題の解決を手助け
離人体験を訴えた一青年の事例―一四枚の絵:離人から本当の自分を求めての旅立ちまで
甘えと反抗―プレ思春期の暴力
□第II部 治療における見立てと展開
子どもの拠り所となる内的イメージ―臨床心理学的および発達心理学的考察
見えざる世界とのかかわり―子どもの内なる宗教的世界の発達と適応
一枚の絵にひそむ可能性
治療技法としての描画
家族成員の育ちなおりを支えた治療者―家族統合促進機能に果たしたその象徴的および実際的役割
□第III部 家族の変容と心理療法
家族のライフサイクル―変わるもの、変わらざるもの
今日なお、なぜ母性か―児童臨床の現場から
児童の権利条約と家族の変容
子の奪い合い
家庭内暴力の構造とその対応
□第IV部 クライエントの側からみた心理療法
クライエントの側からみた心理療法
女性治療者からみた家族―自然体の治療者
発達・臨床心理学からみた血縁の意味
子どもの精神保健にとっての父母イメージ
子どもが望むカウンセラー・教師像
援助者の内的・外的条件―親への援助アプローチ
治療者的家庭教師の役割について
治療者的家庭教師を体験した当時を振り返って/平岡篤武
求められる調和の営み
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