内容説明
南アフリカのボツワナに暮らす狩猟採集民、セントラル・カラハリ・ブッシュマン。丹念な会話分析と出来事を根底から把握する身体配列を手がかりに、その独特なセンスを浮かびあがらせる。権力と強制と傲慢を徹底して嫌い、みずからの生きる世界と粘りづよく交渉を重ねる彼らの社会は、私たちにもう一つ別の生の形がありうることを示している。直接経験に根ざした「等身大の思想」の実践を呼びかける、フィールドワークの結晶。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カネコ
3
◎2009/08/16
takao
2
ふむ2023/01/26
soto
2
頭には残らなくても、「身体に残るかのような本」です。ブッシュマンの語りや暮らしのなかでの身体感覚が採録されていて、その解釈も大いに参考になりますが、それをそれそのものとしてとらえることで何か感じるものがあります。言葉・意識・意思を、身体感覚に根ざしたものとして問い直すきっかけになりそうな本です。2011/11/23
志村真幸
0
著者は言語を切り口に研究している文化人類学者。『会話の人類学』『語る身体の民族誌』などの著書があり、本書はそれらを親しみやすくまとめなおしたもの。 本書は、ボツワナのセントラル・カラハリ・ブッシュマンを調査した記録。独特な名前の付け方や、かけあいによる会話法などが分析されており、日本とはまったく違った「ことば」の構造に驚かされる。 そのほか、結婚や姓にまつわる話題、現代社会の影響による変容についても紹介されている。 なお、少なくとも基礎的な知識がないと難しい本だろう。 2017/11/23
黒胡麻
0
ブッシュマン研究を通して得た、直接の身体経験に根差した「等身大の思想」の大切さを説き、天下りの思想である科学やイデオロギーに重きを置きすぎる事に警鐘を鳴らす。内容を十分に消化吸収しきれたとは思わないが、すごく重要な事が書かれていた気がするので今後また読み直したい。2013/10/10