内容説明
本書では、40億年の生命の歴史のうち、これまであまり取り上げられることがなかった、最初の30億年の微生物の時代の進化を主題として扱い、原核生物~真核生物の進化を一連のつながりのなかで解説する。
われわれ動物や植物の祖先として、細菌や古細菌のような原核生物を想定して進化を考える人はほとんどいないだろう。いや、つい40年ほど前までは微生物学者でさえも、細菌の系統進化を他の大型の生物と同様の分類基準で捉えることなど不可能であると考えていた。このことを可能にしたのは、アメリカの微生物学者、カール・ウーズであるが、本書では、ウーズが成し遂げた偉大な業績を紹介し、その延長上で繰り広げられた真核生物の誕生をめぐる研究者たちの熱い議論を辿ることにより、進化を捉える新しい視点を提示する。
また、本書では生命誕生前史とも言うべき化学進化や、真核生物誕生のきっかけとなった光合成細菌の進化についても触れることで、真核生物の誕生の背景についての理解を深める。そして新しい技術や解析法を駆使して世界の研究者によって進められた真核生物の祖先探しの努力を紹介し、「なぜ、われらが古細菌の末裔なのか」についての理解に結びつける。
微生物を視野に入れて生命の進化を捉えるとき、真核生物の誕生こそが進化の大転換点なのだ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
68
ほとんど題名で…われら古細菌の末裔で本書を読むと決めた。「40億年の生命の歴史のうち、これまであまり取り上げられることがなかった、最初の30億年の微生物の時代の進化を主題として扱い、原核生物~真核生物の進化を一連のつながりのなかで解説する」2023/06/09
Teo
2
大学時代に古細菌と言う分類群があると言うのを知った。当時は名前から細菌よりも以前の生物か?などと思ったものだが、当時は分類学的位置はあまりはっきりしていなかった。今やDNAによる系統解析によって真核生物に近い方で分離したと言う。しかもさらに研究が進んでいて大学時代は細胞共生説がある、と言う程度だったものがどの様な過程で真核細胞が出来たのかまでが仮説として立てられている。やはり半世紀近く経つと違うものだ。大学で生物学をやっている学生におすすめ。 2023/06/27
女神の巡礼者
1
共立出版のこのスマートセレクションというシリーズは初読みでしたが、なかなか高度な内容で、読み応え十分でした。最近の進化生物学の本の進化の系統樹でよく見かけるようになった「古細菌」というカテゴリ。従来からの細菌からなぜ独立の存在として分類されるようになったのか、本書では1977年に発表された論文から始まった古細菌の研究の進展を、詳しく、またわかりやすく解説していて、多くの知見を得ることができました。この古細菌から真核生物が進化したという理論は、進化論懐疑者としては論理の飛躍が大きいかとは思いますが。2024/04/19
y
1
たくさんの登場人物と微生物で、きちんと理解しているかはやや怪しいものの、研究者たちの苦労と確執、面白さが伝わってきました。 サブタイトルの生物の進化だけでなく、研究史も描かれていて、興味深く読めました。 図表もわかりやすく、カラー写真も適度に掲載されていて、満足でした。2023/10/29
ぺけぺけ
1
生物に関する知識は高校の生物基礎で習う程度しかなかったため理解に苦しむ場面も多かったが、興味深い内容だった。 原核生物→真核生物への推移やミトコンドリアの獲得など、薄らとした感覚でしか把握していなかったものを詳しく読むことができた。真核生物の誕生というのはまだ発展途上の分野であるそうなので、また大きな進展があったら知りたいと思う。2023/07/01
-
- 電子書籍
- 七四 宝島社文庫
-
- 電子書籍
- 突撃!! 屯田村青年団(1) まんがフ…
-
- 電子書籍
- モディリアーニにお願い(4) ビッグコ…
-
- 電子書籍
- 君が妖は『フレイヤ連載』 19話 手の…
-
- 電子書籍
- めくりめくる 1巻 ガムコミックスプラス