内容説明
皇帝夫妻の娘として生まれながらも、双子を忌む因習によって捨てられたエルネスタ。
市井で育った彼女の元に、ある日皇帝からの使者がやってくる。
「出奔した姉姫の代わりに蛮族たる人狼王イヴァンの元に嫁ぐこと」
身勝手な勅命を最初は断るものの、育ての母の病気を治すことを条件に引き受けることに。
しかし恐々としながら嫁いでみれば、超絶美形の夫は特に恐ろしいことをしてくるでもなく、周囲の人狼たちも良いひとばかりだった。
しかもエルネスタの庶民根性は、少数民族である人狼族にばっちりフィット。市井で培った明るさと根性が役に立ち、最初は壁のあった彼らとも打ち解けていくことに。
やがて周囲から敬愛される王妃となるのだが、身代わりであるエルネスタはきちんとわきまえていた。
これは双子の姉が連れ戻されれば終わる仮初めの立場なのだから、彼らの好意に甘える気なんてない。
それなのに、なんだか最近人狼陛下との距離が近いのですが……?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
29
皇帝夫妻の娘として生まれながらも、双子を忌む因習によって捨てられたエルネスタ。市井で育った彼女が出奔した姉姫の代わりに人狼王イヴァンへ嫁ぐファンタジー。育ての母の病気を治すことを条件に期間限定の身代わりを引き受けた彼女が、明るさと根性で壁のあった人狼族たちとも仲良くなり、人狼王イヴァンの心も解きほぐして周囲から敬愛される王妃となってゆく展開は良かったですね。だからこそエリーも身代わりでいることの罪悪感があって、イヴァンもまた隠し事があることに気づいていて、何やら不穏な動きもありそうな今後が気になりますね。2023/06/05
陸抗
23
皇帝夫妻の、双子の片割れとして産まれたエルネスタ。身分を隠し庶民として暮らす彼女は、行方をくらました姉の代わりに人狼王の元に嫁ぐことに。身代わりがばれないか心配しつつも、惹かれていくことに罪悪感を抱く彼女と、エルネスタの隠し事に気がついてる人狼王が、いつか何かやらかしそうで。行方をくらました姉も、ただ嫌悪して逃げた感じではなさそうで、続き出て欲しいな。2023/11/14
nishiyan
11
皇帝夫妻の娘として生まれるが双子を忌む因習で捨てられ、市井で養父母に育てられたエルネスタ。出奔した双子の姉姫の代わりに冷酷な人狼王イヴァンの元に嫁ぐことになる異類婚姻譚。幼い頃の想い出等から狼に偏見がないエルネスタは姉姫の代わりを真摯に務めて奮闘する姿は頼もしく、時折、抜けた面を見せるのも愛らしい。そんな彼女に戦乱で傷つき、全てを公に捧げてきたイヴァンが心を開いていく様は何とももどかしい。彼の相棒で狼のミコラーシュの視点がそんな状況をより際立たせているのが興味深い。二人の関係はどう進むのか。次巻が楽しみ。2023/06/02
優
9
いや、1巻って書いて欲しいなぁ。。。終わらない物語。。。ストーリーや設定、登場人物はとてもよく練られていて、読み応えがあります!あるのですが、メイン2人の交流が後半の終わりにやっとある感じで、キュンは圧倒的に不足してます~。物足りない巻でした。次巻に期待です。2023/12/27
kinta
2
隠されて生きる双子の王女・エルネスタ異国奮闘譚。彼女が育った環境が恨まず前向きに生きている。異種と結婚する身代わりはいいけれど、狼たちは鼻が効かないのだろうか…別人に成り代わっても分かりそうなものですがね。王道のまっすぐさに心が動いていく感じの著者のうまさよ。こちらが大いに泣かされる。頑張れエリー!2023/09/03