ちくま新書<br> 東京史 ──七つのテーマで巨大都市を読み解く

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ちくま新書
東京史 ──七つのテーマで巨大都市を読み解く

  • 著者名:源川真希【著者】
  • 価格 ¥935(本体¥850)
  • 筑摩書房(2023/05発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480075529

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内容説明

明治維新による誕生から今日までの約150年間、破壊と再生を繰り返しダイナミックに発展してきた帝都/首都東京。巨大都市はいかに形作られ、人々はどのように暮らしてきたのか? 関東大震災や太平洋戦争からの復興、高度成長とオリンピック、バブル経済とその崩壊、住まいとインフラ、自治と首都機能、工業化と脱工業化、繁華街と娯楽、高層化と臨海副都心開発――今や世界的都市となった東京を様々な角度から見つめ、読み解き、その歴史を一望する。まったく新しい東京史。

目次

プロローグ/今の都心の姿から考える/本書の視点/本書で取り上げること/第1章 破壊と復興が築いた都市/戊辰戦争と近代の始まり/最初の本格的な都市計画/都市計画が直面する社会/災害の克服を目指す──荒川放水路の整備/関東大震災と復興/公園は誰のためか?/都市に葬る/緑地はいかにつくられたか?/空襲の本格化のなかで/戦火をくぐり抜けた街並みを求めて/うまくいかなかった戦後の復興計画/東京オリンピックと都市改造/埋立地からできた都市/埋立地の多様な使われ方/都市の再生か、経済の再生か?/第2章 帝都・首都圏とインフラの拡大/「帝都」と「首都」の来歴/帝都交通網の拡大/暴動の標的となった路面電車/多摩の近代/市域拡張とは何か?/東京のなかの島嶼/首都圏の誕生/戦後の交通網拡大と終わる都電の役割/首都圏の諸県と東京のつながり/首都圏の未来/第3章 近代都市を生きる民衆/自由放任時代の都市/「スラム」という空間/都市民衆騒擾とは何だったのか?/男性の心情から暴動を説明する/社会都市の形成/公設市場・食堂・職業紹介所/「行き倒れ」る人々/朝鮮人と東京/関東大震災と朝鮮人/昭和初期の貧困を生きる/貧困のどん底/子供の労働のありよう/『綴方教室』の反響/敗戦後の戦災孤児/住宅不足と団地・木賃アパート/集団就職と若者の労働環境/開発を支えた労働者たち/第4章 自治と政治/東京府と東京市/東京都の誕生は戦時下だった/汚職が多発した東京市会/選挙粛正の掛け声のなかで/日比谷公会堂と東京市政調査会/都市の「美」は排除を伴うのか?/敗戦から高度経済成長期の都政/革新都政の誕生/保守による都政の奪還/世界との都市間競争/第5章 工業化と脱工業化のなかで/近代東京と工業/都市化のなかの農業と屎尿/戦後の屎尿処理問題/戦前の労働問題/横浜と東京の都市間競争/三多摩での都市間競争/高度経済成長と工業/脱工業化の時代のなかで/スマートシティとは?/第6章 繁華街・娯楽と都市社会/近現代東京と繁華街/近代の大イヴェント/「花街」とはどういう場所か?/ツーリズムと戦争/帝都の復興を祝う/オリンピック・万博と紀元二千六百年/紀元二千六百年関連行事と社会への影響/ヤミ市と戦後の駅前繁華街/月島という街/第7章 高いところ低いところ/山の手と下町/川と生活/近代における高い場所/関東大震災前からあった丸ビル/さらに高いところを求めて/アーバン・ルネサンスからバブルへ/バブル崩壊から都市再生の現在へ/都市再生は未来に何を残すか?/エピローグ 東京を通してみた近現代/近代の工業化と貧困への対応/帝都の復興とさらなる破壊/敗戦から高度経済成長期の社会と政治/ポスト高度経済成長の都市空間/東京史に残された課題/あとがき/東京史関連年表/参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

bapaksejahtera

15
この分野の本では、主に都の行政関係者による著作を中心に読んだが、土木や水道の専門家の本が多い。本書は都立大の教員が東京史と銘打つ大上段の本。戦災震災等による改変、首都機能近代化によるインフラ整備、近代都市の民衆、自治行政の推移、東京の工業と脱工業、繁華街や娯楽等の幾つかのテーマを立てる。豊田正子「綴方教室」を引用しつつ、近代東京の都市の様相に触れる他、戦中から戦後に至る知事の変遷、特に中央政府との関係の指摘は興味深い。議会関連の記述は汚職に関する物のみだが、自治体議会の機能と評価に関し記述が弱い気がする。2023/11/08

spike

6
東京という街の近代以降の歩みを7つの切り口から丁寧に整理。とても読みやすい。知識として知っていたことだけでなく、東京の覇権をめぐる国と自治のつばぜり合い(小池知事がいろいろ動きそれに国がすごく警戒するのはこういう背景もあったのか)とか、「3多摩」のこととか、月島の歴史が明治時代から始まるとかもんじゃが名物になったのはだいぶ最近とか、いろいろ面白い。2023/08/10

あきひと

5
明治以降の東京の歴史を7つのテーマから多角的に辿っていて分かりやすい。東京という大都市が脱工業化していったというところは、大きな流れとしてなるほどと思えた。小池都知事が国際金融都市をイメージしているようだし、工場跡地の活用や、地方・朝鮮からの出稼ぎ労働者ふくめ広く庶民の仕事も大きく変わってきた訳だ。豊田正子さんという人を始めて知ったし、その著作権の搾取や町内会のそもそもの役割についてはマジかと思いました。2023/08/28

安土留之

5
「東京史」というタイトルに惹かれて手にとったが、ちょっとガッガリだった。   「7つのテーマで巨大都市を読み解く」とのサブタイトルどおり、それぞれのテーマごとに明治から現在までの歴史を叙述しているのだが、東京という都市がどう変化してきたかの流れが見えない。「東京史」ということから連想される歴史書というより、各テーマのエッセイという感じ。 2023/06/25

かわくん

4
東京という魅力あふれる都市を、さまざまな視点から解剖する。政治や経済ばかりではなく、災害、戦争、民衆の動きなど「破壊と復興」の末に今日の東京があることを改めて認識する。私たち東北の人間は東京に憧れ、東京の大学に進学し、東京の企業に就職する。確かに文化的な出会いの場は東京にたくさんあり、美術館や博物館ではいつも興味ある展示を行っている。東京という巨大都市だから採算が見込まれるのだろう。地方ではなかなかできないことだが、東京人はその恩恵に浴している。地方からの人間の流入がそれを支えている。2023/06/28

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