内容説明
論理的対局[ロジカ・ドラマチカ]。それは偶然耳にしたわずか1文・数十字をめぐる知の殴りあいだ。エリート警察署長vs.論理の魔女・紅露寺結子18歳の、伊達と酔狂の本格ロジック探偵バトル。彼女の指す一手ごとに暴かれる、悪魔宿るワンセンテンスの解釈とは。そして、彼女が最後に証明する、驚天動地の犯罪計画とは。さてこの勝負、詰むや詰まざるや? 探偵には、1字の誤算もありえない――C.Q.F.D.[セーキューエフデー]
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
雪紫
64
「今かけ直そうか届けようかでも残りは小銭だけだから、もう郵便局に駆け込むしかないのか」それは日常の謎の延長か犯罪の前触れか。たった一語に込められた謎を警視正(あ、「新任警視」の彼か)と官房長官の孫娘が議論する四季の知的言語遊戯短編集。日本語は難しい。そこを執拗にこねくり回すので(まほろ効果)、読みにくさと話の理解に時間が掛かる(書いてる今だって完璧には・・・)。だが、執拗さとふたりの関係の具合に読み応えがある作品には違いなく、「侵略少女」の後なので嬉しさがある。個人的好みは「秋の章」「冬の章」。2023/05/25
茜
52
読み始めて少しの間は慣れるまで屁理屈と感じてしまうのだけれど、慣れるとそれが逆にクセになってしまう。執拗なまでの言葉(センテンス)の吟味や検証、そこから導き出される驚くべき真相と言った感じの本でした。ロジックというのはこういう事を言うんだなと認識しました。最終定理。このレビューは事実を導き出すにはまだ程遠いレビューである。。。C.Q.F.D. 2023/10/23
よっち
39
偶然耳にしたわずか1文・数十字をめぐる論理的対局ロジカ・ドラマチカ。エリート警察署長vs論理の魔女・紅露寺結子の伊達と酔狂のロジック探偵バトル。彼女の指す一手ごとに暴かれてゆく悪魔宿るワンセンテンスの解釈。そして彼女が最後に証明する驚天動地の犯罪計画。内容の多くが二人の言葉を使った殴り合いのようなもので面食らう部分もありましたが、考察を積み重ねてゆくことで導き出される真実があって、ミスリードも絡めながらそこから少しずつ変わってゆく二人の関係が、落ち着くべきところに落ち着いたその結末はなかなか印象的でした。2023/06/28
geshi
30
あらゆる可能性を検証する執拗な論理と『九マイルは遠すぎる』との相性がベストマッチで、言葉をこねくり回す「神は細部に宿る」式の詰めが面白い。『春の章』論理的対局の紹介の話。場所の推理に強引さを少し感じた。『夏の章』たった一つの条件が変わるさけで全体像をガラリと変容させるアクロバット!『秋の章』誘拐された結子からのメッセージを読み解くパターン外し。元警察官の著者お得意の刺し筋。『冬の章』論理的帰結が感情的思い込みをあらわにしてしまう捻り。オチは読んでいて恥ずかしくなるぐらい劇甘。2023/09/09
いなばさくら
24
ゴリゴリの本格ミステリ短編集。読むのは2冊目の作家さんなので作風とか癖とかが分からないけど、序盤からこれはきっと続編なのだろうとあたりをつける。まあ本作単体で読んでも意味は通じるし初めて読んだときにも感じた、賢い人がこれでもかと捏ねくりまわした文章で、嫌いではないけどずっと読み続けるのには体力(頭も含め)が必要ですね。読後に検索したところ本作に前編があるとの確たる情報は得られず。男性主人公の設定がかなり古野さんに近いようなので、ある程度ご自身をベースにされているんでしょうか。(性別知らないけど)2025/01/02