あなたを想う花 下

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あなたを想う花 下

  • ISBN:9784152102324

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内容説明

ヴィオレットが管理する墓地は美しい。通路には樹齢百年になる菩提樹が並んでいて、多くの墓が花で飾られている。誰も訪れなくなった墓が淋しく見えないよう、ヴィオレットが花を手向けているから。墓地管理人の仕事は、そこに眠る者たちの世話をするということなのだ。ある日、ジュリアンという警視が母親の遺言をもって突然やってきた。母親が、家族には秘密で愛人と同じ墓に入ると約束していたのだという。50歳を間近にして、何度も絶望に襲われ、新しい人生をあきらめていたヴィオレットにとって、この男女の物語は大きな衝撃を与える。花が新鮮な水で生き返るように、彼女の人生もまだ終わってはいないのだ、と――

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

starbro

202
上下巻、700頁弱、完読しました。墓地管理人家族の物語なので、地味な作品かと思いきや、ラブロマンス、家族喪失、ミステリと波乱万丈の物語、フランスで130万部売れたのも納得です。今年の翻訳物MyBEST、年間BEST20候補となっています。著者の夫が有名な映画監督(「男と女」のクロード・ルルーシュ )ということもあり、本作は近々映画化されるのではないでしょうか❓ https://www.hayakawabooks.com/n/nc7af141e8ab92023/05/20

NAO

62
下巻では、ヴィオレット、夫フィリップ、ジュリアンの母親の恋物語と、3つの話が入り混じって描かれていく。そして、身勝手で浮気者だったフィリップとヴィオレットの過去が明らかになっていく。親子関係、夫婦関係、人を愛するということ。その複雑さと、うまくいかない場合のあまりにも悲惨な状況。かなりシビアなことも描かれているが、ヴィオレットには残された人生への希望が感じられる。そのため、物語全体が、パステル画の表紙絵のように優しい雰囲気にあふれている。2023/09/04

Bashlier

42
下巻はフィリップによる事件解明。真相は救いようのないモノです。ところで、原題"Changer l'eau des fleurs"を訳すと、「花瓶の水を変えよう」。「お花(=人)は水(=環境)を変えてあげれば、美しく咲く」というメッセージに読み取れます。フィリップは終始母親の歪んだ愛情から抜け出せませんでした。最後、真実をヴィオレットにあえて伝えなかったのは、新しい綺麗な水のなかで幸せに生きてほしかったからでしょうか。よどんだ水(=俺)からは抜け出して、と。あなたを想う花として、生まれ変わりたかったのかな。2023/08/04

星落秋風五丈原

34
下巻だけ図書館にあったので読了。複数語り手による直接話法・間接話法を組み合わせて真相にたどり着くやつですね。著者はクロード・ルルーシュのパートナー。2023/06/09

信兵衛

29
上巻を読んでいた時は、上下2冊に及ぶようなストーリィなのだろうかと疑問に思っていたのですが、下巻に至ると思わぬミステリ要素が加わり、ヴィオレットに不実で自分勝手な夫だったフィリップの意外な内面が明らかになっていくのに伴い、面白さが格段に増していきました。2023/05/28

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