内容説明
※電子版では、図版(6枚)は掲載されていません。
本巻には、絵巻物の形で伝わった物語、六作品を収める。
なかでも『藤の衣物語絵巻』は、質量ともに注目すべき作品である。
原物語は、山伏に身をやつした太政大臣の子息とその三人の子供たち(中納言・中宮・僧正)が、剣や笛、物の怪の言葉によってめぐりあうという、父と子の絆を軸とした物語であり、鎌倉時代に成立した物語と推定される。
中宮となる女児の母は遊女であり、水辺の遊女の暮らしも描かれており興味深い。
一方、白描絵の中にはおびただしい量の画中詞が書き込まれており、絵巻制作時とおぼしき室町時代の口語を反映したものとして、貴重な国語学的資料と考えられる。
六作品とも初の現代語訳の試みであり、詳細な注と解説により、物語絵巻の世界を解き明かす。
藤の衣物語絵巻 ふじのころもものがたりえまき
本絵巻は孤本であり、現在は日本とアメリカの美術館に分蔵されている。本書の底本には、細見美術館蔵の一巻(実見による)、ブルックリン美術館蔵の一巻(実見による)、ならびにクリーヴランド美術館蔵の一図、フリア美術館蔵の一図を用いた。
下燃物語絵巻 したもえものがたりえまき
本書の底本には、甲子園学院美術資料館蔵の絵巻(一巻。実見による)を用いた。校訂本文作成にあたっては、次の二本を参照した。
・九曜文庫蔵本(一巻。実見による。中野幸一氏「『下燃物語』残欠絵巻について」(『室町物語集』「日本古典文学影印叢刊27」日本古典文学会、1990年5月)に影印と翻刻がある。)
・穂久邇文庫蔵本(一巻。絵はなく、絵にあたる箇所に「絵」と記してあるのみ。コピーによる。)
豊明絵巻 とよのあかりえまき
本絵巻は尊経閣文庫に伝わるのみの孤本であり、本書の底本もそれによる。尊経閣叢刊『豊明絵草子』(1936年1月、育徳財団)の影印を用いた。
なよ竹物語絵巻 なよたけものがたりえまき
本書の底本には、金刀比羅宮蔵の絵巻(一巻。実見による)を用いた。校訂本文作成にあたっては、以下の諸本を参照した。
・『鳴門中将物語』(『群書類従・第二十七輯』巻第四八二、所収)
・『古今著聞集』(「日本古典文学大系」岩波書店、所収。「新潮日本古典集成」新潮社、所収)
・曇華院蔵本(箱書「なよ竹の巻物」。一巻。実見による)
掃墨物語絵巻 はいずみものがたりえまき
本絵巻は徳川美術館に伝わるのみの孤本であり、本書の底本もそれによる。『徳川美術館名品集1 絵巻』(徳川美術館、1993年4月)等所収の影印を用いた。
葉月物語絵巻 はつきものがたりえまき
本絵巻は徳川美術館に伝わるのみの孤本であり、本書の底本もそれによる。『日本の絵巻10』(中央公論社、1988年1月)等所収の影印を用いた。
目次
目次
凡例
藤の衣物語絵巻:
本文・口語訳/注/梗概・絵の説明/系図/解題
下燃物語絵巻:
本文・口語訳/注/梗概・絵の説明・系図/解題
豊明絵巻:
本文・口語訳/注/梗概・絵の説明・系図/解題
なよ竹物語絵巻:
本文・口語訳/注/梗概・絵の説明・系図/解題
掃墨物語絵巻:
本文・口語訳/注/梗概・絵の説明・系図/解題
葉月物語絵巻:
本文・口語訳/注/梗概・絵の説明・系図/解題
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