内容説明
産業誘致、防災、オリンピック……真山仁が鋭く描きだす本物の“復興”とは? 東日本大震災から12年、阪神・淡路大震災から28年。ふたつの被災地がともに抱える葛藤を描く三部作、完結!――東日本大震災で被災した遠間第一小学校で応援教師として勤務した二年を経て、小野寺徹平は神戸へ戻る。自らも妻子を亡くした阪神・淡路大震災を語り継ぐNPO活動に奮闘する小野寺だが、復興の名の下に生じた歪み、けして癒えない傷と向き合う日々は続く。一方、遠間では復興五輪、産業誘致など新たな葛藤が生まれていた――。ふたつの“震災”をつなぐ感動の物語。解説・渋谷敦志
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Walhalla
30
震災三部作の三作目で、完結編になります。神戸で震災を経験した小学校教員が、東北の小学校へ応援に向かってから2年。その後、神戸に戻り震災を語り継ぐNPO法人で活動します。著者も『過ぎたことは取り返せない。だから未来に向けて描かねばと思った』とコメントされておられるとおり、復興できたと言える部分だけでなく、今なお問題の残る部分の現実を伝えようとされるのが、とても良く感じられました。今年で、阪神・淡路大震災から30年が経ちました。2025/07/03
タルシル📖ヨムノスキー
26
自身は阪神淡路大震災で被災し、東日本大震災直後から2年間、被災地の小学校で旋風を巻き起こしたまいど先生が主人公の第3弾。今回のテーマは「真の復興とは?」。なかなかセンシティブな話で、上手い答えが見つからないけれど、「復興五輪」はさすがにどうかと思ってはいました。結局コロナで1年延期になり、そんなスローガンがあったことすら忘れてしまったのは多分私だけではないと思います。復興と銘打ったショッピングモールもなんだか違うような気もするし…。成功だけではなくて失敗をきちんと伝えていくというのはなるほど確かに。2023/01/15
YH
3
震災はいつどこで起こってもおかしくない。先日の大震災の予言もここまで話題になったのは、いつ来てもおかしくないと皆んなわかっているからだと感じた。そんな災害時に、そして災害から立ち上がる時にどうしたらいいのか。すごく難しいなと思った。街の形を取り戻しても、心の穴はまだ塞がっていないのだなと改めて感じた。2025/07/19
kaikoma
3
主人公のキャラクターが、前の2作品から変わったというか、薄まってしまいましたかね。若さが売り物の年齢では無い所、震災被害に焦点を当てるが故の2箇所が舞台になった所が原因でしょうか。どうあれ、災害は風化させない事が大切だと改めて感じます。2025/04/04
ぱぱみんと
3
人々に訴えたい最後の結論が「失敗をまとめて後世への教訓に」・・これは深い。著者の魂の叫びなのか。2023/08/27