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内容説明
自動車や家電だけでなく、ロケットやミサイルにもふんだんに使われる半導体は、今や原油を超える「世界最重要資源」だった。国家の命運は、「計算能力」をどう活かせるかにかかっている。複雑怪奇な業界の仕組みから国家間の思惑までを、気鋭の経済史家が網羅的に解説。NYタイムズベストセラー、待望の日本語訳!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
absinthe
162
良く纏めたなと思う。半導体が発明され、その能力で世界が覚醒した日から、発展する歴史だが。主題は技術的な進歩よりも半導体をめぐる人類の争いの歴史だった。光学装置が勝敗を決める。やがて世界はサプライチェーンの時代になった。かつて日本が半導体を牛耳っていて、アメリカが恐れていた時代もあったが今は昔。円安の今、チャンスはある。頑張れ日の丸。エヌヴィディアとインテルの設計の違いはもう少し深堀してほしかったが。2024/01/19
まーくん
120
著者はフレッチャー・スクール(法律外交大学院)准教授。というわけで、半導体技術の実態に深く切り込んではいるが、本書は半導体産業の黎明期からの「歴史書」。ショックレーのトランジスタの発明に始まりテキサス・インスツルメンツ、フェアチャイルド、インテルの興亡、80年代日本の台頭、米国の復活、韓国サムスンそして台湾TSMCの勃興。工場は持たず製造は外注。最先端の超細密回路の半導体はTSMCなど限られた特定の企業でしか作れない。国際的分業体制となっている。中国の挑戦が、この分業体制に不安定要素を持ち込む。⇒ 2023/04/03
ばたやん@かみがた
118
《現代における三国志か、戦国か》(1)滅法面白い。一言で言うなら、今日において最たる戦略的物資である半導体を巡る、製造国、企業そしてそれを率いる経営者についての興亡史です。特に前半、WW2から復員して来て自らと母国復興誓う盛田昭夫や、日本軍や共産革命の暴力から逃げ惑う学童だったモリス・チャン(TSMC創業者)等の登場から始まるなど、今日の半導体諸王国を立ち上げた創業者列伝の趣あり、その後日米ソ韓中台各国や諸企業の成功と没落・再起などが描かれていき、手に汗を握ります。(1/5) 2023/08/21
ひろき@巨人の肩
100
半導体の技術革新と地政学の変遷が理解できた。終戦後より始まる黎明期。TIがその製造技術を確立し、米国宇宙軍事用途に販路を見出す。その後、日本が高度経済成長期にコンシューマーへの拡販に成功。同時期に半導体組立のアジア圏へのオフショアが開始、現在の複雑な供給網の礎となる。日本バブル崩壊と同時期にインテルのCPU事業への転換、マイクロン創業、EDAによるファブレス創出と米国が再興。エヌビディア、クアルコム、アームの成り立ちを学べた。現在の米中対立の核はファウンドリー。特にTSMC、ASMLの存在感は圧倒的。2024/03/07
まちゃ
88
原油を超える世界最重要資源となった半導体を巡る攻防の現代史。私たちの生活に関連するCOVID-19による半導体サプライチェーンの混乱や米中対立の側面についても理解することができました。大変興味深い内容でした。/現代の戦争は半導体を基盤とした精密誘導兵器が戦果を左右する。最先端プロセスでチップ製造できる企業は、TSMC、インテル、サムスンのみ。最先端ファブの多くが東アジアにある。日本がTSMCの新工場に補助金を拠出するのは、サプライチェーンの中で日本が競争力を持つ分野を保護するため。2023/05/01