内容説明
奇矯な学者本間鋭太、訳稿を受け取る古閑沙帆、ギタリスト倉石学と妻麻里奈、その美しい娘由梨亜。どこか秘密めいた人物たちの〈別の顔〉とは。奇妙な言葉〈ハト〉とは……。ついに古文書の全貌が明らかになるとき、虚実入れ子の物語は、脱出不能の〈結末〉へなだれこむ。長年渉猟してきた貴重な資料を駆使し、ホフマンと鴎外、漱石、乱歩などの考察も織り込んだ、巧緻にして驚倒のミステリー。(対談・松永美穂)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yukaring
53
マドリードの小さな古書店で見つかった古文書。裏に楽譜が書かれたこの書類に書かれていたのは19世紀の異端作家ホフマンの波乱の生涯。少しずつ解読されていくと共にホフマンの秘密が明らかになり、そして謎は一層深まっていく。ホフマンに対する知識が皆無だったために最初はとても読みにくかったが、不思議な魅力を持った登場人物たち、そして虚実入れ子になったこの物語に深く引き込まれた結果、仕掛けられた作者の罠にすっかりハマってしまい呆然。どこまでが事実でどこまでが想像なのか、謎が謎を呼ぶスパイラルにすっかり囚われてしまった。2023/05/13
ton
3
ホフマンを中心としたその時代のドイツ文学、日本文学も出てきて文学史を読むようで、もはや文字を追うだけの読書になってしまった。 沙帆視点のストーリーも、本間と倉石家の関わりに、さすがに世界狭すぎだろ、と、だんだん興味が薄れてしまったというか、、、 世界史も無知な残念な私ですが、ナポレオンをホフマンは嫌っていたという描写から、現代に伝えられている歴史というのは、だいたいが一方的だということを改めて思い知ったので、文学って視野を広く持つための大切なツールなんだと再認識できた。2023/06/25
栄吉
3
★★★☆☆ 最後の最後に?!となる。タイトルの鏡影劇場に納得。2023/06/12
shonborism
2
ホフマンは今回初めて知った人物なので、一つの伝記として面白く読む。現代の方も上巻でヒヤヒヤしていた人間関係が都合よく?繋がっていく。まさに表題のような作品の構造。2023/05/01
cha○
1
難しい。膨大な資料と調査のもと書かれた壮大な作品であるのは分かるが、難しい。2023/06/03