内容説明
仏教評論家として世に出始めたころの書籍ですが、内容・文体は古くなく、むしろシャープ。「仏教名作シリーズ」の第一巻目です。「仏教のことばは難解である」といわれますが、じつは難解なのは仏教のことばよりもむしろ仏教の考え方のほうである、との視点で書かれます。その考え方が理解できれば、ことばのほうは案外簡単にわかる、ということに気づかせてくれます。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
禿童子
29
2022年1月付けの著者の「復刊のまえがき」によれば、昭和52年~54年(1977年~1979年)に『大法輪』に連載した「仏教語を再考する」という記事をまとめた本。つまり今年4月に他界したひろさちや(本名・増原良彦)が30代のフレッシュな感覚で書いた文章を著者没後に読むことになる。本人は阪神タイガースファンで当時小学生の息子と娘を持つ若い父親だったという話題もほほえましい。「空」の話にポロシャツの色やロールシャッハのインキの染みのたとえが卓抜。インキの染みは自由な解釈を許す。それが「空」だと喝破する。2022/05/18