美術業界を蝕む女性差別と性被害 ギャラリーストーカー

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美術業界を蝕む女性差別と性被害 ギャラリーストーカー

  • 著者名:猪谷千香【著】
  • 価格 ¥1,760(本体¥1,600)
  • 中央公論新社(2023/01発売)
  • ポイント 16pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784120056161

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内容説明

美大卒業後、作家として自らを売り出したいと願い、一人ギャラリーに立つ若い女性作家につきまとうギャラリーストーカー。美術業界の特殊なマーケットゆえに、被害から免れることが極めて難しいという異様な実態がある。孤軍奮闘する若い女性作家につきまとうのは、コレクターだけではない。作家の将来を左右する著名なキュレーター、批評家、美術家など、業界内部の権力者によるハラスメント、性被害も後を絶たない。煌びやかな美術業界。その舞台裏には、ハラスメントの温床となる異常な構造と体質、伝統があった! 弁護士ドットコムニュース編集部が総力を挙げて取材した実態と対策のすべて。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

たまきら

56
ああ、ようやくこの業界にもメスが入ったか…という気持ちです。ちなみに男性が性被害にあう率もとても高く、才能ある多くの魅力的な若者が幻滅してギャラリーや美術館の世界から身を引いているのは事実です。本当にもったいない…。この本では海外なら大丈夫というような記述もありますが、海外のコレクター世界でもギョッとする話を見聞きしています。特権を持った者たちの搾取のせいでつぶされる才能。藝大など芸術文化への予算削減。怒り続けて数十年です。2023/02/23

いちろく

26
紹介していただいた本。作家を標的にする、美術商、学芸員、大学、客、そして風習を描いたノンフィクション。特に、作家に絡む中高年の美術館やギャラリー好きのおじさん(若い男性作家に絡むおばさん含む)の実例の数々に、客の立場でここまで? と驚く。本人は「善意」に基づいていると思い込んでいる、悪意のない悪意の行動が酷い。傍から見たら一見何も悪くないが、繰り返される関係者への作家との親密さアピールやキャバ嬢(男性作家をホスト)扱いしている自覚がない点が怖かった。私も数十年後に、こんな爺さんに成らないよう肝に銘じねば。2023/07/27

makoto018

17
数年来、地元美大の卒展に通っている。最近、ギャラリーストーカーという言葉を知った。美術展や画廊で女性作家たちに迷惑行為を行う主として中高年男性のこと。自分は関係ないと思ったが無自覚な迷惑行為となると不安になるもの。それでこの本を読む。もちろん、そうした迷惑客の話もあった。しかし、話はそこにとどまらず、美術業界や美術大学ならではの構造的な問題へと進んでいく。今朝NHKで「芸術分野のハラスメント」がニュースとなっていた。これは現在進行形の問題なのだ。ちなみに地元の美大でも卒展前にこの問題の学内勉強会を行った。2024/02/26

lily

11
展覧会を開き在廊する女性作家に足繫く通う中年男性。自慢話や購入をちらつかせ性的関係を迫る様子はキャバクラそのもので、果てにはSNSを駆使して追い掛け回すストーカーに変貌する。「ギャラリーストーカー」という単語そのものも初耳で驚きだが、彼らをのさばらせる要因は美術業界ではデビュー以後フリーランスで活動せざるを得ないという特殊性に加え、予備校から美術大学、大学教授や美術館の運営者に至るまで男性優位主義にどっぷり浸かった保守性に由来する。男性側が善意でやってると考え加害者としての意識が皆無なのが怖い…。2024/07/13

die_Stimme

8
ギャラリーストーカーというものの存在を初めて知った。たしかに、名前と顔を出していて、twitterなんかで今日はここのギャラリーにいます、とか宣伝することを考えると、なるほどありそうな話ではあると思った。本書はギャラリーストーカーのルポに終始する本でもない。日本の美術業界の歴史や、より広くアートの世界の歪なジェンダーバランスから、ハラスメントが当然のもののようにされてきた今の状況を繙く。多摩美で声を上げた学生たちによって、紆余曲折を経て状況が改善されつつおる事例に、少しだけど明るい未来を見た。2023/06/24

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