岩波文庫<br> パサージュ論 二

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岩波文庫
パサージュ論 二

  • ISBN:9784003246344

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内容説明

遊歩,アレゴリー,メランコリー….資本主義をめぐるベンヤミンの歴史哲学は,ボードレールの「現代性(モデルニテ)」の探究に出会う.『パサージュ論』の中で最大の断章項目「ボードレール」のほか,「蒐集家」「室内,痕跡」を収録.(全五冊)

目次

凡 例
覚え書および資料
H:蒐集家
I:室内,痕跡
J:ボードレール
解説……………横張 誠
【『パサージュ論』全巻構成】
◇パサージュ論 第1巻
概 要[Expos s]
パリ――一九世紀の首都[ドイツ語草稿]
パリ――一九世紀の首都[フランス語草稿]
覚え書および資料
A:パサージュ,流行品店,流行品店店員
B:モード
C:太古のパリ,カタコンベ,取り壊し,パリの没落
D:倦怠,永遠回帰
E:オースマン式都市改造,バリケードの闘い
F:鉄骨建築
G:博覧会,広告,グランヴィル
◇パサージュ論 第2巻
H:蒐集家
I:室内,痕跡
J:ボードレール
◇パサージュ論 第3巻
K:夢の街と夢の家,未来の夢,人間学的ニヒリズム,ユング
L:夢の家,博物館(美術館),噴水のあるホール
M:遊歩者
N:認識論に関して,進歩の理論
O:売春,賭博
P:パリの街路
Q:パノラマ
R:鏡
S:絵画,ユーゲントシュティール,新しさ
T:さまざまな照明
◇パサージュ論 第4巻
U:サン=シモン,鉄道
V:陰謀,同業職人組合
W:フーリエ
X:マルクス
Y:写真
Z:人形,からくり
a:社会運動
◇パサージュ論 第5巻
b:ドーミエ
d:文学史,ユゴー
g:株式市場,経済史
i:複製技術,リトグラフ
k:コミューン
l:セーヌ河,最古のパリ
m:無為
p:人間学的唯物論,宗派の歴史
r:理工科学校 初期の草稿
土星の輪あるいは鉄骨建築
『パサージュ論』に関連する書簡

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬弐仟縁

39
蒐集において決定的なことは、事物が本来の機能から切り離され、同じような事物と、緊密に関係するようになること(17頁)。蒐集家は、たがいに共属しあうものを1つにする(35頁)。Comfortの語源は慰め(傍点)consolationを意味した(75頁)。アメニティも快適さを意味するが、愛が原点だった。類語の概念を広げていきたい。ポルシェはボードレールは生涯、御曹司気質のままだったと指摘(221頁)。想像力(イマジナシオン)は事物同士の内面的かつ密かな関係と、照応と、類似を感知する神的能力(238頁)。2021/10/08

ころこ

38
ボードレール論が占める。『パリの憂鬱』は「孤独な散歩者」、『悪の華』は「冥府」の構想だった。パサージュ論に相応しいが、今さらボードレールかとも思う。とにかく本書は読み易い。ボードレールとポーやユゴーとの比較は興味深く、ベンヤミンのボードレールに対する視線に(直接的には)普遍性は無く、知ではあるが哲学ではない。「ボードレールが後期ラテン文学に感じた親近感は、中世初期に初めて花開いたアレゴリー的なものへの彼の情熱とおそらく関係がある。」アフォリズムでもない断片の積み重ねは、論理とは異なる方法で形式化している。2023/07/28

ターさん

1
本書は「ボードレール」で占められていた。ベンヤミンはこの『パサージュ論』に何故これだけの量の断片を〈蒐集〉したのか。友人によると、ボードレールは突出した存在だったと。西洋文学の連綿と繋がる詩人の中にあって、キリスト教、叙事、田園、農耕、自然…ではない、「悪」の中に「美」を見る。ヴェルレーヌやランボーも及ばない存在感だったのか。パリを「猫のように神経質に音も立てず」[J1a,3]遊歩し、「醜いものに対していつも礼儀正しい」[J10a,3]この機会に『パリの憂愁』と『悪の華』を読むことができたのは収穫だった。2022/04/02

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