内容説明
珠宝の紀行エッセイ集シリーズ第3弾文庫化。
読んで、旅する。 会員制会報誌「シグネチャー」に連載されたエッセイ「旅先でこころに残った言葉」と連載中の「旅と言葉」からセレクトした人気シリーズ「旅だから出逢えた言葉」シリーズ第3弾の文庫化。スペイン、アメリカ、フランス、イタリア、日本と世界中を旅し続けてきた伊集院静氏が各地で出逢った市井の人々、画家、作家、スポーツ選手をはじめ、書籍、名画などから、ふと心に響いた「ひと言」をテーマに綴ったエッセイ集。
「年の始めは、ともかくゆっくりスイングすることだ」(ボビー・ジョーンズ)
「女性が立ち上がった戦いは真の戦いになるものよ」(コルシカ島のホテルの女主人)
「見つゝ行け 旅に病むとも 秋の不二」(夏目漱石)
「六月を奇麗な風の吹くことよ」(正岡子規)
「モネは眼の人である。あの眼こそモネのすべてである」(ポール・セザンヌ)
<私が独裁、戦争を嫌うのは、あの市庁舎の前に並ばされた人々と、それを見守る家族の姿を思うからである。安らぎの場所で、私に写真の説明をしてくれた女性の表情と言葉は、今回の旅で大切にしなくてはならぬことだった。「この人たちは、私たちの誇りです」>(本文より)
※この作品は単行本版『読んで、旅する。旅だから出逢えた言葉 3』として配信されていた作品の文庫本版です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ランラン
6
心に残った言葉。「考え考え抜いて練習をやりぬいてようやく何かが出るのが私たちの人生」「たとえ結果が出ずともそれをやり続けることしか生きる尊厳はない」「人の喜び幸福の表情は共通している。悲しみ不幸せの形はどれも違う表情をしている。それだけ人間は悲しみに出逢うことであり、その悲しみが違う表情をしているのは人間の生の複雑なところ」「99回の失敗と1回の歓喜、辛苦辛酸だけが人を育てる」いい言葉でした。2023/02/10
Yasushi I
0
本書は欧州を旅するなかで特に美術に纏わる言葉が多く綴られている。モネ、ミロ、フィレンツェやマドリッドでの体験。画家の思いは絵画に描き込まれ、見た者に感動と言葉が生まれる。またイギリスにいた漱石が病の末に夭逝した子規へ宛てた俳句に深く感動した。2023/04/17