最後の版元 浮世絵再興を夢みた男・渡邊庄三郎

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最後の版元 浮世絵再興を夢みた男・渡邊庄三郎

  • 著者名:高木凛【著】
  • 価格 ¥1,980(本体¥1,800)
  • 講談社(2022/11発売)
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  • ISBN:9784062184137

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内容説明

一八八五年生まれの渡邊庄三郎は、貿易商の許で働くうちに浮世絵の美しさに目覚め、それが世界に流出していくことに心を痛める。そして国内では顧みられない浮世絵の再興を企て、新たな作品「新版画」を、伊東深水、川瀬巴水、橋口五葉といった絵師たちと作っていく。やがてこのムーブメントは大きく広がり、世界からは「shin-hanga」として高い評価を得られるようになる。「版元」として新版画とともに生きた男の人生。


写楽や北斎といった絵師が描いた浮世絵は、江戸の庶民たちに愛された。だが明治に時代が移り、西洋から流入した石版や写真にその座を奪われ、伝統の木版は衰退の一途を辿る。そんな悲惨な状況に置かれた浮世絵に目を付けたのが、欧米人たちだった。彼らはその価値を認め、結果、大量の浮世絵が国外へ流出していった。
1885年生まれの渡邊庄三郎は、貿易商として浮世絵に触れ、その美しさに心を奪われ、なんとかこの芸術を日本に残せないかと、浮世絵復興へと走り出す。それは、伝統芸術を守っていくだけでなく、新たな浮世絵の世界、つまり「新版画」を作っていくという大きな企てだった。庄三郎は『渡邊木版画店』を立ち上げ、絵師、彫り師、摺り師の三者によって生み出される日本特有の芸術を、伊東深水、橋口五葉、川瀬巴水といった力のある絵師たちと組み、欧米から「shin-hanga」と認知、賞賛されるところまで引き上げていった。
大きなムーブメントを起こした新版画創作だったが、庄三郎の死とともに収束していく。力のある画家たちは日本画の世界へ戻り、発表される作品も減っていった。その意味で、彼は新版画の「最後の版元」だった。だが、その一方で、彼が亡くなった後にも、すばらしい作品が残り、日本人の記憶に残った。そして、それは世界を驚かせ、やがてあのスティーブ・ジョブズの心も動かした。
このほど、庄三郎の孫・章一郎のもとに、庄三郎の日記とメモが残されていたことがわかった。知られざる「最後の版元」の人生に、名脚本家でもあるノンフィクション作家が迫っていく。

目次

●目次
プロローグ
序章 江戸から明治へ
第一章 庄どんの夢
第二章 浮世絵との出会い
第三章 独立
第四章 大正新版画誕生
第五章 大震災
第六章 shin-hannga
第七章 孤塁を守る
終章 栄誉と別れと
エピローグ

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

Koning

17
表紙の赤い着物の女からページをめくって最初に目に飛び込んでくるのが五葉の髪を漉く女。古くからのMacユーザにはMacPaintのデモに使われたあの絵の元といえばわかると思う。浮世絵という文化が途絶えつつあった頃、新たに現代の絵師と刷り師で版画を作ろうと奮闘した男のものがたり。どうも国内より海外の評価というのは江戸が終わって漉きなおされる一歩手前の浮世絵同様この時代の新版画も日本での評価はずっと低いままだったというあたりはちょっと泣けてきたり。今はもうここで紹介されている絵も骨董市や古書店で買おうと(続く2013/07/22

Cinita

4
千葉市美の「新版画」展があまりに面白く、これだけのムーブメントを一から作り上げた版元・渡邊庄三郎に興味が湧いて手に取ったのですが、想像以上のバイタリティと商才、そして版画・浮世絵への確かな見識と愛情に圧倒されてしまった。明治の浮世絵に対する評価など前提となる話もしっかり解説されていてわかりやすかった。また関係者の証言や直筆の日記をもとに、渡邊の人生に寄り添い歩もうとする筆者の優しい筆致も読んでいて心地よかった。いい本です。2022/10/02

果てなき冒険たまこ

1
知ってはいたけどそれほど興味がなかった新版画。でもそれじゃだめだよなーと思って読んでみたらこれがめちゃ面白い。何だか知らないことって多いなー勉強しなきゃ。。と思っていたら今年(2024年)の年末にうらわ美術館で渡邊庄三郎を軸とした展覧会をやるらしい。なんというタイミング!それまでに川瀬巴水や伊東深水とかを予習しとかなきゃな。また楽しみが増えたぞわくわく。2024/04/16

ぱぐびぃ

1
川瀬巴水、吉田博の木版画作品が気に入り興味を持ったことから、2人の画家を新版画の道に導いた明治、大正、昭和期の版元であり画商である渡邊庄三郎の生涯を著した本書を読み、かの作品群が世に出て世界各地の愛好家が手にするまでには画家、彫師、摺師そして版元であり指揮者である渡邊庄三郎たちの艱難辛苦の道程だったことを知り、更に新版画の作品に愛着が湧いた。2017/09/27

takao

0
ふむ2017/07/05

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