内容説明
江戸市中で続く凶悪な事件に、奉行所必死の探索にもかかわらず、杳として知れぬ賊の行方。
悪党の逃亡を手助けする闇稼業を疑った幻十郎は、松平楽翁の影御用を引き受けた。
その最中、宵闇に襲われていた出石藩士の早川数馬を救うが…。
感想・レビュー
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幻十郎(冥府の刺客)の7作目。今回の構成はちょっと変わっている。但馬出石(いずし)藩のお家騒動はいつものように血の雨が降るものの、終盤で急速に自己収束してしまう。私のみならず登場人物まで憮然としていたのが面白く感じた。ややこしいまま読者をどちらかの味方に付けて、というのが時代劇の定法だろうが、現実にはこんなものなのだろう。今回、楽翁から主人公への依頼は「逃がし屋」の摘発。犯罪者や訳あり者が江戸から姿を消す事件が続く。首謀者が誰なのか、読者は判っているから倒叙剣戟なのだけど、やはり面白い。★★★★☆☆2011/11/05