内容説明
男は死んだ。後世に思いを馳せて――稀代の英雄の一代記、ナポレオン小説の金字塔が堂々の完結! またたく間にヨーロッパの頂点へ上り詰めた男の栄光と凋落。諸国との戦争に破竹の勢いで勝利し続け、ヨーロッパをほぼ手中に収めたナポレオン。オーストリア皇女と再婚して跡継ぎにも恵まれ、絶頂期を迎えるが、酷寒の地・ロシアへの遠征に失敗し、対フランス同盟軍に追い詰められてゆく。1814年、ついに退位を余儀なくされ、地中海に浮かぶエルバ島への追放が決まるが……。「まだ私は終わりではない」。再起を懸け、男は最後の戦いに挑む! 第24回司馬遼太郎賞受賞作。
目次
第1章 君臨
第2章 絶頂
第3章 失脚
第4章 復活
第5章 ワーテルロー
エピローグ
ナポレオン関連年表
参考文献
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
86
本来的にはこの巻が一番面白いと思うのですが、少し前半にちからを入れすぎたせいか若干物足りなさがありました。わたしは、もう少しロシア遠征、ワーテルローの戦いを長く詳細に描いていただければと思いました。エルバ島からの脱出などももう少し、という気持ちがあります。2022/10/15
Y2K☮
34
力作。軍人としては最後まで優れていた。でもだったらナポレオンが直接率いる軍を避ければいい、他を先に倒してから数で圧倒すればと周囲が気づいてしまった。図らずも凡百な集団がひとりの天才を潰す術を学べた気がする。兵は詭道なり。勝てば官軍。彼自身も戦勝を重ねて這い上がり、皇帝にまでなった身だ。文句は言えまい。それでも敗れた後の急落がえぐい。セント・ヘレナもそうだけど、その前にエルバ島へ追放された際の辿り着くまでの旅路が凄まじい。まさに勝てば英雄、負ければ悪鬼。毎回の戦がポーカーにおけるオールインの心境だったかも。2025/10/09
おにく
33
若いときには軍事学校をわずか一年で卒業するなど、早熟だったナポレオンも、部下たちが年を重ね、分別を身に付けてくると、ナポレオンの忙しない性格や、声を荒げるなど、自分を抑えきれない部分がきわだってくる。そして、戦争で奪い取った領土の緩衝地帯として、自分の親族を国王にするなど、彼の保身が見えかくれする辺りから、いつしか自分もナポレオンを遠巻きに眺めるようになっていきました。彼を正当に評価するのは難しいですが、人が一生のうちに為しうる何倍もの人生を歩んだ破格の人物といえるでしょう。 2023/01/14
タッキー
13
3巻の中でも圧倒的に面白かったです。日本の戦国時代のよう。各国ともあっちについたかと思えば、やっぱり強そうな国につく。転落の始まりは、ロシア遠征のモスクワからの撤退劇。寒い中、兵士が可哀想に思いました。その後、エルバ島に流されて、そこで終わっておけば良いのに、脱出してワーテルローの戦いへ。もったいないなあと思いました。ワーテルローの敗因は、何といっても歴戦の将軍たちがいなくなっていたこと。最期はセントヘレナで寂しく去ったのが、気の毒でしたが、波瀾万丈の人生を3巻を通じて堪能できました!2023/01/14
Mark X Japan
9
遂に、ナポレオンの命運がつきました。運や敗者への扱いなどは、古今東西不変だと感じました。☆:3.52023/04/26
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