内容説明
人間は生涯にわたって運動を楽しむことが可能である。遺伝子の働きにより老年期のほうが壮年世代よりも身体活動が活性化する「アクティブな祖父母仮説」など、リーバーマン教授が人体の新たな可能性を提言。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
103
著者はハーバード大学人類進化生物学部教授の古人類学者。ボストンマラソンでの自己ベストは3時間20分。原題は“Exercised”人間がするように進化してこなかったことが、なぜ健康に役立ち、やりがいを生むのか。本書を読んで、運動は以前よりさらに良い状態にするアロスタシス(動的適応能)という仮説を知った。マラソンは健康にいいか悪いか不明だが、今後も続けようと決意しました。多くの原注とユーモアのある文章で読みやすかったです。 https://www.youtube.com/watch?v=g2b-7qAWfDM2022/11/17
あつお
10
運動と人類の本質を紐解く本。 本書は、運動が人類にとって自然な行為である一方で、多くの現代人が運動を敬遠する理由を探求している。①持久力に関して、人間は長距離を移動することに適応して進化してきたが、現代の交通インフラの発展により、その必要性が減少している。②運動する必要性について、運動は死亡率を下げる効果があるが、過激な運動は必ずしも健康に良いわけではない。運動を通じて人間がどのように生きてきたのかを理解し、より自然な方法で運動を楽しむことが提案されている。2024/06/03
Yuki2018
7
著者は古人類学者にしてマラソン愛好家。本書では、運動の有用性を人類の進化と絡めて解説する。狩猟採取民は生存に必要な活動以外は基本的にダラダラしていると言う。「運動」自体、歴史上最近まで存在しなかったもので人間生来の本能に合わないのだ。こうして座りっぱなしの現代人の生活スタイルが生まれ様々な弊害を生んでいる。本書では、このミスマッチを解消し健康を維持改善するために適切な運動とは何かを学べる。著者の言うとおり、体の使い方に関する哲学は良い人生を享受するのに極めて重要だ。運動不足の人こそ読むべき一冊。2024/02/10
DEE
7
運動は進化の面で見れば本質的に奇妙な行動であるいう著者。しかし座りがちになってしまった現代人を悩ませる多くの疾患に対し、完全ではないものの有力な予防や改善に繋がるという証拠をこれだけ見せられたら、運動しないという選択肢はないと思うんだけど。でも、やらない人は本当に何を言ってもやらないのは変わることはないんだろうな。2023/12/28
yuma6287
7
上巻に続き興味深い考察が展開。膨大なデータと広範な視点からの切り込むので、主張がとても信頼できる一冊だ。マラソンの起源である兵士が死んだのは後世の創作だの、運動を業務の一環に組み込む会社があるだの、万歩計の万は願掛けといった大筋とは関係の無い話が面白いのも良い本である。それだけに最終章が高校生で習う知識をデータで補強するに留まったのが心残り。本著を読み終えて、改めて幅広いスポーツをやりたいと思った。人間の身体は急速に進歩する現代社会に適応できてない。健康を意識する瞬間がある人は是非とも手に取って欲しい。2023/11/28