内容説明
五年間つき合ってきた彼にふられた雑誌編集者のみのり。イタリアンレストランの若きオーナーシェフである元彼を見返すため、自らも飲食店を開店し人気店にしてみせると心に誓う。そのために彼女は、夫を亡くし実家に引きこもっている姉ゆたかに一緒に店をやろうと誘う。姉も亡くなった義兄もシェフだったからだ。そして姉妹は神楽坂の路地の奥の奥にあった木造家屋にスパイス料理専門店を開店させる。そしてその店では、料理を食べた人たちにある変化が……。心に栄養が染み渡る料理小説!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
171
リゾートホテルでシェフを務めていた姉のゆたかと『スパイス・ボックス』という『スパイス料理店』を営む主人公の みのり。この作品には、そんなお店を訪れる客たちが、提供される料理の数々に”起点・きっかけ”を掴んでいく様が描かれていました。私にとって全く未知の世界でしかなかった『スパイス』のあんなこと、こんなことを知ることのできたこの作品。極めて読みやすく工夫された長月天音さんの構成力に唸るこの作品。なるほど、これはシリーズ化されるのも当然だよね!と納得する“食” × “起点・きっかけもの”の傑作だと思いました。2024/04/23
モルク
97
5年付き合いふられたイタリアンレストランオーナーシェフの彼を見返すために出版社を辞め元ホテルシェフだった姉と神楽坂に飲食店、スパイスを効かせた各国料理の店を出す。いろんな悩みを持っていたり疲れている人をスパイスの力で整え元気づける。私はスパイスの強いものはあまり得意ではないのだが、このスパイスボックスでは結構マイルドに仕上げてあったりその人に合うものをすすめてくれるらしいので私に合ったおすすめのスパイス料理を食べてみたい。続編もあるので読んでみよう。2024/12/19
ゆみねこ
85
イタリアンレストランのシェフに失恋した元雑誌編集者のみのりは、元彼を見返す為に姉のゆたかと共に神楽坂の路地の奥の古民家でスパイス料理の専門店を開く。スパイスの持つ力でお客さんの心と体を元気にし、夫を亡くした姉ゆたかの再生と負けん気だけの妹みのりの成長譚としても面白く読了。長月さんは葬儀場が舞台の「ほどなくお別れです」で知った作家さんですが、こういう路線も良かったです。2022/10/08
ツン
79
前の職場、知り合いの有名作家のコネクションを利用させていただいていて、それを素直にありがたがるところはリアル。別れた二人の関係もなんかいい。2024/05/08
真理そら
76
居酒屋ぼったくり的な雰囲気をおしゃれにした感じ。ページからスパイスの香気が漂うような作品だった。5年付き合ったイタリアンシェフに振られた雑誌編集者のみのりは彼を見返すためにスパイス料理店を開くという設定だが、シェフである姉のゆたかのキャラが魅力的なので主人公のみのりがやや影薄に見える。今後キャラが立っていくのだろうか(たぶんシリーズ化するだろうから)2022/09/05