内容説明
日本にいると想像しにくいかもしれないが、清潔なトイレを安心して使えない人は世界中に23億人もいる。そのうち5億人はトイレがない環境で生活しており、野外で用を足さざるをえないのだ。また世界には、学校に清潔なトイレがないために通学をあきらめる女子児童・生徒もたくさんいる。
教育を受ける権利や就労の機会も失うなど、トイレ環境の良し悪しが女性の人生に大きな影響を与えていることは知っておきたい。誰もが使えるトイレ環境の整備は、今日も世界各地で進められている。
先進国では当たり前の水洗トイレについても、一度立ち止まって考えてみたい。一人あたり年間10kgのCO2が水洗トイレから排出しており、地球温暖化に加担しているのだ。生活用水の2割をトイレが占め、一人あたり1日に45リットルも使っている計算である。深刻な水不足が懸念される日本において、見過ごすことのできない問題だ。
では、どうしたらよいのか。本書では、国内外の最新事情を熟知する執筆陣が、水を使わないドライトイレや雨水の活用など、これからのトイレの進むべき未来を考える。
目次
はじめに
第1章 トイレから読み解くSDGs――17の目標とトイレ
1 SDGsとは何か?
(1)SDGsの概要
【コラム】自分とSDGsはつながっている(弁当を例に考えてみよう)
(2)SDGsからみたトイレへの取り組み
(3)トイレからのアプローチ
【コラム】SDGsを漫画で学べるトイレットペーパーを全国に届けた高校生の活動
2 トイレと人権
(1)人権とSDGs
(2)水とトイレの権利
(3)トイレを利用する権利
(4)トイレを利用する権利とはどのような人権なのか
(5)トイレを人権として考える意味
(6)さいごに
第2章 安全な水とトイレ――トイレなき世界を変えよう
1 安全な水とトイレ――約5億人が野外排泄をしている世界
(1)世界のトイレ事情
(2)トイレがないことのリスク
(3)トイレ革命に取り組む2つの国
2 日本から世界へ――国際社会の取り組みと日本の国際協力
(1)国際社会、国連の取り組み
(2)日本の国際協力
3 世界のトイレ改善活動
(1)一般社団法人日本トイレ協会が先導した、世界のトイレ活動
(2)世界でトイレ活動を行うNGO
(3)日本国内の団体の活動
(4)世界のトイレを救う日本人による身近なアイディア
【コラム】公共トイレ清掃員の性別に対する意識調査
4 日本の技術、ノウハウを活かせ!
(1)トイレのノウハウで「豊かで快適な住まいの実現」へ
(2)排泄物処理剤を使った新しいトイレ(モンゴル、ボリビア)
(3)SDGsの目標達成への貢献について(TOTOグループの場合)
第3章 誰一人取り残さない日本のトイレ
1 「誰一人取り残さない」ということ
2 障害のある人とトイレ
3 女性とトイレ
4 性的マイノリティとトイレ
(1)トイレの課題を理解するための基礎知識
(2)トランスジェンダーの困りごとから、今後のトイレのあり方を考える
(3)性自認にかかわらず、利用しやすいトイレを考える
5 子どもとトイレ
(1)SDGsと「子どもと排泄」
(2)乳幼児期
(3)学童期
(4)教育/便育
第4章 水洗トイレは持続可能か
1 汲み取りトイレと水洗トイレ――エコだった昔のトイレ
(1)下肥として利用してきた時代
(2)明治・大正・昭和期のトイレ
(3)水洗トイレに追いつかなかった下水道
【コラム】温水洗浄便座の普及
2 水洗トイレのその先はどうなっているか
(1)下水道の仕組み
(2)水洗トイレと下水道がもたらす海の汚染
(3)東京湾の水環境の実態とトイレ
3 これからの持続可能なトイレシステム
(1)水資源から考えるトイレ問題
(2)水洗トイレと地球温暖化
(3)持続可能なトイレシステムとは
【コラム】雨水利用の水洗トイレ
おわりに
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
朔麻
しまっち
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