内容説明
五年三組の担任教師・柿埼の提案した『ニンテイ』ゲームはクラスの子どもたちの心を捉え、学校生活に欠かせないレクリエーションとして順調に機能しているように見えた。引っ込み思案で『ニンテイ』を忌避していた百音も、親友となった香住の励ましを得て、夏休みの自然教室や秋の運動会を乗り越え、クラスメイトとの距離を縮めて徐々に自分の世界を広げてゆく。この穏やかな日々がずっと続くはずだった――三年半ののち百音は思い返す。最後の〈ゲーム〉が行なわれたあの日、夜の校舎で何が起きたかを。圧倒的筆力で描ききった渾身の傑作長編。/解説=瀧井朝世
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
27
「ニンテイゲーム」を続ける五年三組で密かに起こった変化。その結果起こった事件、クラスメイトのその後や柿埼先生とあやめ先生の思いの行方が描かれた下巻。一見、クラスで上手く機能しているかに見えた柿崎提案のゲーム。取り込まれて元気をなくしていく親友を心配するけれど上手くいかない構図は難しいなとも思いましたけど、それ以上に決死の思いから起こした事件とその顛末に何とも言えない気分になりました。切ないけれど穏やかな結末かと思ったら、最後に思わぬことに気付かされてビックリ...でもいつか二人が仲直りできるといいですね。2022/10/02
ほたる
11
後半戦は大人たちを描いているように思った。あやめ先生との関係性、そして燻っていた問題の表面化。『ニンテイ』ゲームがなかったとしたらもっと大変なことになっていたのかもしれない。たまたまそれが導入されていただけで。今回のこの一件で子供たちは一歩大人になるだろう。百音が運動会の日に想いを馳せているシーン、こういう良い思い出も苦い思い出も含めて成長していく。あり得ない配色のアヤメとカキツバタにたどり着いた瞬間、ああもうこの子たちは前を向いてしっかり歩み出しているんだと思った。2022/10/09
ツバサ
7
下巻。あんまり響くものがなかった。なんのためにニンテイを行ったのか、学校側の態度が弱い。悪意が蔓延るのは目に見えてるはずなのに、そのままはちょっと。2022/10/04
きゅうくつ
6
こう終わるのか…… 悪くはないけれど、この設定ならば、もっと違う展開を読みたかった気がする。具体的にどんなと問われても、答えられませんが。ただ、十市社さんの文章や視点はとても好きだと改めて思った。なんだかんだで上下巻一気読み。2022/10/11
Gaooo
5
子どもたちなりの正義感が、暴走の果てにある悲劇を呼び込んだ。思いの外のシリアスな展開。設定が細かくて覚えきれなかったが、子どもたちの勢いと熱量が読み進める気持ちを引っ張ってくれた2022/10/30