内容説明
中国文学の原点である『詩経』と『楚辞』の成立、発想、表現を、『記紀万葉』と対比し考察する。古代共同体的な生活が破壊され、封建制が根付いたとき、人々はそれぞれの運命におそれを抱き、そこに古代歌謡が生まれる――。この巻でとり扱った時期は、古代中国人が神を発見し、また失う過程を示すものである。斬新で美しい論の展開、すべてを網羅した知識、知的興奮が味わえる白川静の世界へようこそ。 427ページ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
傘緑
40
「中国の神話は、殷の滅亡によって早くからその実修的伝承の主体を失い、神話としての発展もそのためにはばまれた…中国民族のもつあの抜きがたい政治性は…遠い古典の時代に発している」そうなると殷周革命は王よりも神(話)を弑する政治変革だったと言える。それを反逆と諫めて餓死をした伯夷叔斉のもつ宗教性は『楚辞』へと流れて行った。「崩壊してゆく社会的勢力としての古代的宗教者の、敗北の記録であり、悲歌であり…そこにあるものは、滅びゆくものの美しさである…神とともにあるべき宗教者が、神を見失うところに生まれた文学(楚辞)」2017/02/16
roughfractus02
6
文学史は神話から始まる。が、殷の滅亡後続く戦乱で自然崇拝する神話的宇宙の壊滅が繰り返され、人間社会化され、経典化される古代中国では、それら宇宙観は図像や歌謡や敗者の思想の文字に保存されたと著者は言う。神的なものと交流する呪詞としての歌謡(『詩経』)、分離された自然を絶対者「道」として構想する『荘子』、自然崇拝する巫祝者集団が現実的な政治集団に敗残する中で書かれた『楚辞』から「無限の寂寥」を表す文学が生まれる。淘汰の中で外界の変容が内界にマップされると質(感情)が生まれるというA・ダマシオの進化の説を思う。2020/12/16
大臣ぐサン
1
統一された神話を持たない中国の文学の原点を古代歌謡に求める。白川先生むず…。2020/06/15
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