内容説明
1973年、アポロ18号の打ち上げを間近に控え、カズ・ゼメキスはヒューストンのNASA有人宇宙船センターに軍の連絡将校として着任する。宇宙飛行士候補だった彼には、特別な思いのある任務だ。最後の月着陸となる今回のミッションは、ソ連の軌道上偵察ステーションと月面探査車を対象とした軍事目的となる。だがその直前、事故が起きた――架空のアポロ18号を題材にして宇宙飛行士の著者が描いた、もう一つの宇宙開発史
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
香菜子(かなこ・Kanako)
17
アポロ18号の殺人 上。クリス・ハドフィールド先生の著書。サイエンスフィクションでありミステリーでもあるアポロ18号の殺人 上。夏にミステリーを読みたくなるのはどうしてなのでしょう。暑くて眠れない夜にはアポロ18号の殺人 上はぴったり。アポロ18号の殺人 上を読むとアポロ18号の殺人 下も読みたくなるのは当然。早くアポロ18号の殺人 下が読みたい。2022/10/08
鐵太郎
16
17号でフィナーレとなってしまったアポロ計画で、アポロ18号がもし計画されていたら。そのアポロでは、単なる調査ミッションではなく、ソ連の暗躍に対抗する極秘の軍事作戦が計画されていたとしたら。その計画が、とんでもない展開により頓挫したら。 ──あり得たかも知れない過去と、ありえない現代SF世界の融合。月面上で、遠隔操作によりソ連が発見したわくわくする発見、の所で上巻は終わり。これは面白い。2022/10/02
本の蟲
14
国際宇宙ステーションの船長も務めた、元宇宙飛行士の著者によるSFサスペンス。現実には幻となったアポロ18号。本作では国防省が予算を持つことで進められ、宇宙飛行士は全員軍人から選出される。月着陸に隠された秘匿ミッションは、軌道上でソ連の軍事偵察ステーションアルマース(実在)への接近と撮影、可能なら破壊するというもの。発射されたサターンVの動きに注視していたソ連。当時米国は知る由もなかったが、アルマースには(現実にも)機関砲が搭載されていた…。宇宙空間における米ソの衝突。作者経歴からくる詳細な描写がすごい(続2022/10/02
臓物ちゃん
12
米ソ冷戦の緊張による軍の後押しを受けてアポロ計画が17号以降も継続した別の世界線の1973年アメリカ。しかしその宇宙船のクルーのうち誰かが殺人犯だってんだからヤベーッ!そんな究極の密室ミステリを迫真のリアリティのもと描き出した歴史改変SFの新たなる傑作。ガチ宇宙飛行士が書いてるだけあって技術まわりの描写の仔細がハンパねぇのだが説明ばっかりだとちょっとクドいな……と思ってたら中盤からはまさに仰天の展開で手に汗握りっぱなし。宇宙○○○なんてアホのアイテムも本職が解説すると説得力が違うわい!下巻はいよいよ月へ。2022/08/13
芋猫
8
1973年、米国最後の月着陸をミッションとするアポロ18号。しかし発射が間近に迫る中、ロシアが宇宙で不可解な動きをしていることが分かる。そこでアポロの乗組員に対露ミッションが与えられ…という話。作者はカナダ人の宇宙飛行士とのことで、序盤は主人公の米海軍少佐カズを通して飛行機やヘリやロケットの描写が多く、門外漢のわたしは読み進めるのに苦労した💧けど、慣れてきたタイミングでアポロ18号が打ち上げられ、かなり衝撃的な展開へ。何がどうなるのか全く分からないのが嬉しい!下巻へGO!2023/08/06