内容説明
「別れた女に金の無心までして、あの人が目指すのは何なのでしょう――」
明治に浪漫主義運動の旗頭「明星」を創刊し、数多の才能を育てた与謝野鉄幹。その人生には、彼に身も心も翻弄された女性たちがいた。「明星」の草創期を支え、子をなすも裏切られ続けた滝野、歌の才を愛されながら夭折した登美子、鉄幹の妻となり歌人として大成した晶子。それぞれに訪れる鉄幹との修羅場、女たちのふしぎな連帯、そして鉄幹を凌ぐ歌人となった晶子の壮絶な運命とは――。心も金も才能も燃やし、自らの足で歩み始めた明治女性たちの不屈の歴史恋愛長篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
198
タイトルと表紙に魅かれ、読みました。奥山 景布子、初読です。タイトルから【読メエロ部】的作品かと思いきや、意外と普通に文学していましたが、乱れたのは髪だけではなく、男女関係の全てです。しかし、与謝野 鉄幹は、 モテたんでしょうね、明治を代表するスケコマシかもしれません(笑) 「鉄幹」が 梅などの古木の幹の美称だとは知りませんでした。 https://www.chuko.co.jp/tanko/2022/07/005545.html2022/08/10
いつでも母さん
169
どなたかの演歌の歌詞に「この黒髪の先までがあなたを愛しているものを」というフレーズがある。読んでいる間ずっとリフレインされて、女の業をこれでもかと突きつけられる。内縁の妻から貴女も奪い取ったのよね。因果は巡るのに、狂おしいほど求めてやまないのを『愛』と呼ぶ。はぁ…三人の女たち、鉄幹はそんなにいい男ですか?って聞いてみたいのが正直なところなのだ(汗)時々、実在の女性を描く作品に出会うとその熱にあてられることが多々あるが、本作は逆に凄すぎて退いてしまう。行くか?パリへ。2022/07/30
タイ子
107
与謝野鉄幹、思うがままに生き、そして罪深い男。3人の女性の心を引いたり押したり、翻弄された女性たち。それでも憎めない男、鉄幹という人間。今の時代に生きていたらSNSとかネットニュースで凄い事になっていただろうなぁってあまりの所業に笑えてしまった。最初の妻(未入籍だけど)を追い出し、後妻になった晶子。夫の浮気に歌に情熱を向けていく。いやいや、因果応報でしょ。鉄幹の周りの女性たちの貪欲に生きる姿もスゴイと思ってしまう。愛情、嫉妬、欲望、女の業、男の性、全てを赤裸々に描くみだれ髪の原点。晶子の情熱冷めやらず…。2022/08/09
Kei
98
与謝野鉄幹が、ほんまにしょうもない男(ひと)やった、って話し、ですが、歌人、与謝野晶子をたらしめた人。彼が納得できないのもわかるが、それだけで、存在意義としては、十分でしょうね。2022/10/30
そら
87
私は日本の歌人や文豪については全く無知である。与謝野晶子という名は聞いたことがあるが、夫の鉄幹のことや和歌などは全くわからず、この物語がフィクションなのかも解らずただただ読み進めた。昔の人の方が自由奔放で、熱量もすごいな、生きてるって感じがするわと感心しきり。命も短い分、愛も使命も全力疾走。歴史に名を残すってこういうことなのかな。いや、でも、この激しさはちょっとついていけない。そして、歌は英文を読んでいるかくらいに残念ながら意味がわからなかった。とほほ。2022/09/01