内容説明
高梨冬莉は僕の後輩だ。面倒見がよく、僕が春瑠先輩と“陽炎の夏”に遭遇したときも隣で支えてくれた、からかい甲斐のある可愛い後輩。そんな冬莉と過ごした思い出だけが、だんだん霞み始めていたんだ――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
芳樹
37
夏梅の後輩・冬莉に焦点を当てた今回。春瑠先輩の恋を描いた前作と対になる物語で、1巻と合わせて一つの章になるのだと感じました。夏梅の春瑠への想いを知っており、今の関係を変えたくないから自分の気持ちを夏梅に伝えられない。そんな冬莉の想いの深さに魂を大いに揺さぶられました。この先、夏梅を中心とした人間関係がどうなって行くのか。彼らの物語を最後まで見届けたい。2022/07/10
オセロ
31
文化祭で合唱の伴奏を頼まれた冬莉の過去との決別を描いた今回の物語。 伴奏を頼まれたにも関わらず人前でピアノを弾くことが出来ない冬莉。そんな冬莉の過去は想像以上に重たいものでしたけど、冬莉がピアノを弾く意味になろうとする友人に支えられて迎えた文化祭はグッとくるものがありました。 その一方で、冬莉がもう一つ向き合わなければならない夏梅への想い。冬莉が一歩踏み出せずにいるが故に夏梅に起きた現象は辛すぎるもので。そんな夏梅への後悔を残さない為の冬莉の決断は胸にくるものがありました。2022/07/03
よっち
27
夏休みが明け、受験勉強に勤しみながら後輩・冬莉と過ごす時間が増えてゆく夏梅。他愛ない日々の中、いつものように体育館でピアノ弾いていた冬莉は、文化祭の合唱伴奏を頼まれる第二弾。面倒見がよくて、春瑠先輩と陽炎の夏に遭遇したときも支えてくれた彼女に訪れた忘却の夏と、動き出すもう一つの片想い。苦い過去を乗り越えようとして苦悩する冬莉を支えてくれる周囲の人たちが印象的でしたけど、肝心なところで素直になれなかった彼女の後悔があって、大切なことを教えられて勇気を持ってぶつかって新たな一歩を踏み出した結末が印象的でした。2022/07/02
ぽな
17
脳裏に浮かび上がるあの駅前を後輩が走っていく、たくさんの初恋を抱えて。こんなに可愛い後輩に思われてる夏梅は本当に幸せ者ですね…。もうとにかく冬莉が可愛すぎて序盤は常にニチャってましたよ(´^ω^`) 僕も会いたくなったから来たって言えば猫威嚇したりばかばかばか言われながらぽかぽかぽかしてくる後輩が欲しい人生だった(´;ω;`) いや~本作はほんとに某作品の某後輩を愛してるあまさき先生らしさが溢れまくってる作品ですね!一方通行の叶わない恋を胸に秘めた冬莉の心情がせつなくて読んでる側も胸が苦しくなります。2022/07/03
真白優樹
14
文化祭の季節が来て冬莉が合唱の伴奏をする事になる中、夏梅の記憶から冬莉との思い出が消え始める今巻。―――進む為に、笑いにするために。今は涙でさよならを。 今までずっと側に居て夏梅を支え続けた冬莉の切ない思いがこれでもかと描かれる巻であり、新たな現象を終わらせ片想いを終わらせるために踏み出していく、前巻にも増して切なさが目白押しである巻である。終わりを背負い前を向き、未来を見つめて歩き出す。果たして片想いに満ちた彼等の関係は何処へ行くのか。巡る季節、果たして思いは叶うのか。 次巻も勿論楽しみである。2022/07/03