中公新書ラクレ<br> 娼婦の本棚

個数:1
紙書籍版価格
¥946
  • 電子書籍
  • Reader

中公新書ラクレ
娼婦の本棚

  • 著者名:鈴木涼美【著】
  • 価格 ¥946(本体¥860)
  • 中央公論新社(2022/04発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784121507617

ファイル: /

内容説明

【目次】
●はじめに――時に夜があまりに暗く、字を照らす光がなくても

〈第1章 女は無意味に旅に出る〉

●もしアリスが女の子ではなかったら
 ――『不思議の国のアリス』(ルイス・キャロル/矢川澄子訳)
●女の子の殻をさらに包む強力な殻
 ――『“少女神”第9号』(フランチェスカ・リア・ブロック/金原瑞人訳)
●娼婦になったり聖母になったりすればいい
 ――『悲しみよ こんにちは』(サガン/河野万里子訳)
●女子高生にある個室の自由
 ――『いつだってティータイム』(鈴木いづみ)

〈第2章 セックスなんかで分かるもの〉

●資本主義と愛と整合性のないカラダ
 ――『pink』(岡崎京子)
●たかが一度や二度のセックス
 ――『性的唯幻論序説 改訂版 「やられる」セックスはもういらない』(岸田秀)
●されどセックスが解放する時間
 ――『蝶々の纏足』(山田詠美)

〈第3章 女ではない奇怪な生き物〉

●買う男の論理があるのだとして
 ――『わが悲しき娼婦たちの思い出』(ガルシア= マルケス/木村榮一訳)
●基本的には他人事でしかない男の青春
 ――『大胯びらき』(ジャン・コクトー/澁澤龍?訳)
●お金を介した男女の滑稽な話
 ――『遊女の対話』(ルーキアーノス/高津春繁訳)

〈第4章 信じられる神がいなくとも〉

●ありえないほど汚れた場所の、ありえないほど高貴な信仰
 ――『ぼくんち』(西原理恵子)
●夜のオカネと昼のオカネ
 ――『大貧帳』(?田百閒)
●この世で最も不公平な関係
 ――『シズコさん』(佐野洋子)

〈第5章 言葉を身体に貼り付けて〉

●夜が過ぎても生き残る可能性があるなら
 ――『夜になっても遊びつづけろ』(金井美恵子)
●若い女の心はそう整うものじゃない
 ――『私家版 日本語文法』(井上ひさし)
●一〇〇年越しの女の味付け
 ――『モダンガール論』(斎藤美奈子)
●それでもピンヒールは正義
 ――『ちぐはぐな身体 ファッションって何?』(鷲田清一)

〈第6章 荒唐無稽な夜を生き抜く〉

●無敵だったココロと冷めた見解
 ――『桃尻娘』(橋本治)
●若さも九〇年代も空っぽだったと皆言うけれど
 ――『モモ』(ミヒャエル・エンデ/大島かおり訳)
●半分腐った世界でナウシカになれるわけもなく
 ――『風の谷のナウシカ』(宮崎駿)

●おわりに――それでも「絶望的に期待する」

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

やいっち

76
「キャバクラやアダルトビデオなど、夜に深く迷い込んで生きていた頃、闇に落ちきることなくこの世界に繋ぎ止めてくれたのは、付箋を貼った本に刻まれた言葉だった――。」とある。軽薄なのか冒険心や親や学校社会への反発心、あるいは同世代の女子への見栄や流行を追うマインドの突っ張り合いなのか。だからってAV嬢までやるのか。までという言い方に偏見があるのか。2022/07/13

fwhd8325

70
タイトルの勝利ではありますが、いわゆる企画的な内容ではなく、著書自身が等身大で伝わります。タイトルの衝撃から、もっと過激なものも期待していましたが、これも著者の計算、お考えからすれば、見事に手のひらで踊らされレテいるように思います。2023/06/07

TakaUP48

70
読書中に芥川賞候補として名前が出てきた!昔の接続詞連発の岸田淳平程の超長文ではないが、慣れないと読みづらいかも。涼美スタイルというか、独特の文体。時折、ズバズバと裏の世界を書いているが、何処か教養が染みてくる。「本」はカラダに悪いことばかりしてきた筆者の青春に色彩を足し、ぬかるみから掬い挙げてくれたと言う。気になった本は、L.キャロルの「ふしぎの国のアリス」、岸田秀の「性的唯幻論序説」、山田詠美「蝶々の纏足」、西原理恵子「ぼくんち」、内田百閒 「大貧帳」、井上ひさし「私家版日本語文法」、橋本治「桃尻娘」。2022/06/21

ころこ

43
タイトルや表紙からは写真付きで実際の書棚の紹介かと想像しますが、実際は書評でした。著者は本を他者として受け取っているところがあります。この意味の他者とは倫理的な規範のことですが、著者の場合は少しひねってあって、「一般的な優先順位が崩壊している」ことによる意味の再構成のこと、言い換えればクソみたいな世界における倫理は本当の倫理ではなく、転倒していることによってなされる異化効果によって、そこから考えていくことがこの荒野を生きるための倫理なのだとでも言いたげです。全20冊が紹介されている本の意味の読解と著者の生2022/06/30

とある内科医

43
まずは著者、編集者に「そんなタイトルにしなくてもどうせ買うから大丈夫ですよ」と伝えたい。読点の多い涼美さんの文体にもだいぶ慣れてきたところ。自分語りや性的な話題から離れた著作も読んでみたいと感じるものの、繰り返し触れるエピソードでも飽きさせないのはやはり文章力が高いのだろう(少なくとも強い個性は感じている)。井上ひさし、桃尻娘、海外文学などといつ、どのように出会い、どう読み、いかにして自分の中に蓄積してきたのかが語られ、興味深く読んだ。タイトルで敬遠される方は、著者による他の本からどうぞ。2022/05/06

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/19521704
  • ご注意事項

最近チェックした商品