内容説明
梟の一族――。誰ともなくそう呼びならわされた限界集落で身を隠すように生活している住民たちには秘密があった。彼らは眠らないことに加えて、生まれつき常人離れした身体能力を保有しているのだ。それゆえに歴史の影で大きな役割を果たしてきた。榊史奈は一族の末裔中、唯一の十代として期待を一身に背負いながら平和に暮らしていた。集落が何者かにより襲撃され、一名が死亡し、その他全員が彼女を残して消えてしまうまでは……。敵の目的とは一体何なのか? 単身で逃亡生活に追いやられた史奈は一族の生存を信じて、また己のルーツに関する真実を知るため、戦い続ける。サイエンス×忍者エンターテインメント。
目次
一 備え怠るべからず
二 独りに利あり
三 怠惰憎むべし
四 驕るべからず
五 偏れば誤り多し
六 寡兵をもって多勢に勝つべし
七 機略縦横になせ
八 妬むべからず
九 怯懦恥ずべし
十 名誉を尊ぶべし
十一 賢将は勝って慎む
終章 梟の本懐
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のり
79
戦国の世から忍びとして暗躍してきた末裔の梟の一族。眠りを必要としない体質と身体能力が高い。周囲に能力を気付かれないように暮らしていたが、何者かに集落が襲撃される。一人残った高校生の「史奈」は緊急時の身の振り方を長である祖母から指示を思い出し、事件背景を追う。一族の掟と、散らばった一族の仲間と共に真相に立ち向かう。面白かったが、常人離れした能力の戦闘シーンが少なめだったのが勿体ない。2023/04/27
おつぼねー
68
いきなり引き込まれた。特異な身体機能を持った「梟」とよばれる忍びの末裔一族。眠らない、超人的身体、自分なら商売に結び付けまっせ...などと考えるとワクワクした。でもデメリットも。これから脳や遺伝子が解明されていくのか、それとも更なる事件が?「梟の胎動」へ。2024/03/07
ま~くん
36
梟は代々眠らない。そして常人離れした運動能力を誇る。かつては時の政権を裏から支えた忍びの一族。そんな彼等が住む集落がある日一軒残らず焼失する。一人の死者を残し他の住人全員が忽然と姿を消した。唯一の生存者、高校生榊史奈の生き残りをかけた逃避行が始まる。誰にやられたのか、その目的は。彼女は真相に辿り着くことが出来るのか。前半迄はいい本を掘り当てたとワクワクした。でも読み進めていくにつれ完全に尻すぼみ。それもその筈。作者の名前に見覚えがあると思ったらあのBABELの著者じゃないですか。着眼点は面白いのに。複雑。2023/09/14
ぷにすけ
33
眠らない一族「梟」、その特殊能力により過去の時代から、歴史の重要な役割を背負ってきたが、一族は高齢化を迎え、集落の最後も近いかと思われた。その集落が突然襲撃され、集落の人々は全員消えてしまう。唯一逃げ延びた長老の孫「史奈」の元にかつて集落から出て行った二人の兄妹が現れるが・・・。常人離れした能力を授かる反面、恐るべき病「シラカミ」にかかるリスクもあるという力があなたは欲しいですか?2024/02/07
空のかなた
28
シリーズ3作目→2作目→1作目「梟の一族」と逆の順番で読んでしまった。1作目が一番面白かったと思う。史奈が忍者の末裔「梟」の一族のリーダーとして成長していく過程は見もの。そこに敵役の西垣と郷原が絡んでくるが、彼らと「梟」の因縁も伏線回収が見事だった。特に西垣が憎々しい。事件が解決となった後に、史奈が警察で聴取される際のゆどみのない証言のシーンは映画にもなりそう。「梟は嘘はつかない、不要なことを敢えて言わないだけ」という史奈は、流石に生まれながらの「梟」であり、並の高校生とは思えない腹の座り方、魅力満載。2024/03/06