内容説明
不可解な沈没、海底の義足、救助を拒む女。
日本初の女性海保潜水士が海に潜む闇に挑む!
手に汗握る長編サスペンス
海上保安庁初の女性潜水士・忍海 愛。
男性の同僚に比べて体力も技術もまだまだだが、誰にも負けない観察力の持ち主だ。
釣り船転覆事故の知らせを受け、潜水班を乗せた巡視船ひすいが八丈島沖へ急行。
初めての海難対応の焦りで命の危機にさらされる中、愛は沈みゆく船に奇妙な違和感を覚える。
それは海保を震撼させる事件の始まりだった。
「足かけ二年に渡る海上保安庁取材で見聞きした海上保安官の精神『正義仁愛』こそが、この本のテーマであり、矜持です」―吉川英梨(著者)
目次
第一章 出港
第二章 海難
第三章 ブラックアウト
第四章 フラワーマーメイド号事件
東日本大震災
第五章 家族
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
35
女性初の潜水士として注目を集める横浜海上保安部所属・忍海愛。兄は特殊救難隊、父もベテラン海保潜水士で血筋は折り紙付きの彼女が、初めてならではの苦難や過去にも向き合ってゆく物語。東日本大震災に遭遇し目の前で母を失った愛。それをきっかけにバラバラになってしまった家族や、女性初の潜水士「海蝶」として働く彼女や周囲の戸惑いもあって、初めての任務がまたとんでもない事件でしたけど、苦難にぶつかって葛藤しながらも、行くも地獄戻るも地獄の道を突き進む覚悟を決めた愛がようやく大切な絆を取り戻す姿がとても印象的な物語でした。2022/05/01
えみちゃん
34
これも文庫化されるのを楽しみに待っていたんですよぉ~。お仕事小説は大好きですが海上保安庁が舞台のお話はさすがに初めてです。しかも初の女性潜水士が主人公なんだって!男性でも大変な仕事。それを体力的にも劣る女性が任官するとは・・。吉川さんの描くヒロインだからきっといずれ<13階の女>にも勝るとも劣らない逸材となることだろうけど・・っということで読み始めたワケですが・・。どんな職業でも女性初となると注目を集めます。明らかに体力的に劣る愛が男たちの中に混じって訓練するとなると風当たりが強くなります。特に彼女の場合2022/05/26
やんちゃジジイ
30
久々に感動して涙が出た。2022/07/04
座敷童
16
女性初。ちょくちょく聞く言葉だが、当事者にとってはフロンティアとしての大きな壁が存在する。もちろんその周囲にも。そういう言葉が聞かれないでもいい世の中になってほしいものだ。2022/04/30
shun
15
2022年23冊目。ジャケ買い。当たりでした。海猿に対して海蝶ですか。東日本大震災が関係していたり、ついこの間まで住んでいた街が出てきたり、勝手に縁を感じてしまう作品でした。事件の動機は逆恨みにしか感じませんでしたが、良い結末でした。次作も楽しみにしてます。実写ドラマ化されるとすれば、愛は土屋太鳳、八潮は伊藤英明、仁は松坂桃李かなー。父親の正義はしっくりくる俳優が思い浮かばない…。まさかの海猿復活。2022/04/30